恋煩い
恋なんて、もっと先の話だと思っていた。だから彼を見ると胸が跳ねる理由を、私はまだ認めたくなかった。気づかれたくなくて、挨拶以外はつい嫌味ばかり言ってしまう。後悔して、また明日こそ普通にしようと思う。
私はただのクラスメイト。
帰り道で彼と会うことなんて滅多にないのに、その日は偶然だった。
「今から帰んの?」
「そうだけど」
そんな会話だけで嬉しくなる自分が悔しい。普通に、普通に、と自分に言い聞かせる。他愛もない話をしている中、彼は私に火を点ける。
「俺気になるやついるんだけどさ、お前仲良さそうだから紹介してよ」
彼が火を点けたのは火薬庫だ。どう帰ったのかも分からないくらいに私にとっては大事故だ。
布団に入っても頭は煙たくて、鎮火の様子はない。
また今日も彼に会った。「偶然」。
「ごめんね。好きだよ、鈴木のこと」
夕陽が熱くて目に痛い。熱かったから足早に帰った。痛かったから彼の顔は見なかった。
夕陽が沈んだ。火薬庫はまだ鎮火の様子はない。
明日を忘れた喫茶店 平沢哉太 @kanata_hira_1499
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。明日を忘れた喫茶店の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます