処分屋
最近、街に“処分屋”という奇妙な店ができた。 不要品を何でも引き取ってくれるらしい。 家具でも、思い出でも、罪悪感でも。
サラリーマンの佐伯は、ふらりと店に入った。
「いらっしゃい。今日は何を処分しますか」 店主はにこやかだが、目だけが笑っていない。
佐伯はため息をついた。 「……上司を処分してほしい」
店主は一瞬だけ目を細めたが、すぐに笑顔に戻った。
「承りました。料金は前払いで」
佐伯は冗談半分のつもりだったが、勢いで支払ってしまった。
翌日。 会社に行くと、上司の席が空いていた。
「急に失踪したらしいよ」 同僚がひそひそと話している。
佐伯は背筋が冷えた。 まさか、本当に――。
その夜、処分屋に駆け込んだ。
「やっぱりキャンセルで! 上司を戻してくれ!」
店主は静かに首を振った。
「申し訳ありません。処分したものは戻せません。 ただし……“代わりのもの”なら用意できますよ」
「代わり?」
店主はにっこり笑った。
「あなたが“次に処分される側”にならないように、ね」
佐伯は青ざめた。 店の外に出ると、街灯の下に黒い影が立っている。 こちらをじっと見ていた。
佐伯は走り出した。 しかし、どこまで逃げても、影はついてくる。
ふと、ポケットの中に紙切れがあることに気づいた。 震える手で開くと、こう書かれていた。
《処分対象:佐伯 依頼者:上司》
佐伯は悟った。 昨日、上司が席を外していた理由を。
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