あとがき
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
この物語を書き始めたとき、私が描きたかったのは完璧なハッピーエンドではありませんでした。
傷は簡単には消えないし、コンプレックスは誰かの優しい言葉だけでは癒えません。
愛されたからといって、すぐに自分を愛せるようになるわけでもない。
それでも——
誰かと一緒なら、その傷を抱えたまま、少しだけ前に進める。
そんなささやかな幸せを描きたかったのです。
彩人は最後まで包帯を外しませんでした。
外の世界にも、まだ出られていません。
それでいいと思います。
変わることが必ずしも治ることや克服することではないのです。
包帯をしたまま生きる。
あざを隠したまま誰かを愛する。
それもまた、一つの強さだと思うのです。
詩織は彩人に「包帯を外して」とは言いませんでした。
「外に出よう」と急かすこともしませんでした。
ただ、そばにいました。
ありのままの彼を受け入れたのです。
愛することは、相手を変えることではありません。
相手の傷を治そうとすることでもありません。
ただそのままの姿を受け入れ、一緒にいること。
「今のあなたでいい」
「焦らなくていい」
その言葉の裏には、深い理解と覚悟があります。
包帯を外さないことも、外に出られないことも、すべてを含めて愛する——
それは、とても強く、優しい決意です。
そして、彩人もまた、強い。
自分の醜さも弱さも全部見せて、それでも愛されることを信じた。
変わらなくていいと受け入れられることで、
初めて変わってもいいと思えるようになる。
逆説的だけれど、それが人間なのだと思います。
この物語は傷を治す物語ではありません。
傷を抱えたまま生きていく物語です。
完璧じゃなくても普通じゃなくても、
ありのままで愛される。
ありのままで誰かのそばにいられる。
それがどれだけ救いになるか。
読んでくださった方の中に、
自分の見た目にコンプレックスを持っている人がいるかもしれません。
孤独を感じている人がいるかもしれません。
もしそうなら——
「変わらなくてもいい」
「今のままでいい」
「それでも、愛される」
そう感じてもらえたら。
それが私の一番の願いです。
彩人と詩織の物語はここで終わります。
でも、二人の未来はまだ続いていきます。
いつか包帯を外す日が来るのか。
二人で桜を見に行く日は訪れるのか。
それは分かりません。
でも、たとえ包帯を外さなくても。
たとえ遠くへ行けなくても。
二人は、幸せになれる。
なぜなら、愛とは完璧になることじゃないから。
ありのままを受け入れ合うことだから。
そしてそれは特別な才能ではなく、
誰の心にも宿る、優しさと強さだから。
いいねや★評価、レビュー、感想——
すべてが次回作への励みになります。
もしこの物語が心に残ったら、
ぜひあなたの感じたことを教えてください。
改めて、最後まで読んでくださってありがとうございました。
この物語があなたの心に小さな春を運べていますように。
2026年1月 ひとひら
箱庭のアトリエ ひとひら @neirohakimi123
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます