ヴァーミリオン・ソーサレスーー真紅の咎姫と極光の騎士

駄文亭文楽

第0話

暗い回廊に、淡い光が灯る。

ゆらゆらと揺らぐそれは、蝋燭の火を思わせた。


コツ、コツ、と。

ヒールが石膏の床を叩く音が、静寂を割る。

淡い光を讃え、緋色の眼は真っ直ぐ前を見据えていた。

年少の身でありながら、姿勢は威風堂々。

暗闇を切り開くように灯る「緋かり」が、彼女を覆う漆黒のドレスを照り映えさせる。


廊下の照明が彼女の全身を映し出すまでの、ほんの刹那。

だがその一瞬でも世界は彼女を見逃さなかった。


――悪役令嬢とは、なんだろうか。


抽象的な「悪」しか示せぬのなら、

まず完全なる悪を掲げるべきだろう。

それに準ずる者こそが、悪役令嬢を名乗るに相応しい。


もっとも身近な人類悪がある。

「七つの大罪」


すなわち、人類の大逆。

虚栄、嫉妬、怒り、悲嘆、強欲、貪食、淫蕩――


そのすべてを踏み抜いた者だけが、

悪役令嬢という称号を得るはずだ。


では、彼女はどうか。


緋色の眼を持ち、漆黒を纏い、

ただ歩いただけで世界に名を刻んだこの少女は――

果たして、そのどれに該当するというのか?

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ヴァーミリオン・ソーサレスーー真紅の咎姫と極光の騎士 駄文亭文楽 @Geoconfreak

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