第四章 光の夜と交わらない線
姐ちゃんの店
母親は時折「姐ちゃん」に連絡して、最近の出来事なんかを共有していた。僕を連れて
「姐ちゃんの店」に飲みに行くこともあった。姐ちゃんの旦那「おっちゃん」も時に混ざっていて。
姐ちゃんの一番上の子供が、僕と同い年。あと二人、下に妹がいる。学校は隣同士だけど、子供同士の繋がりはとても浅いものだった。
「あんたな、行くで」
その刹那。
姐ちゃんの店の扉の中に、三姉妹がいた。
紛れもなく、あの三人だ。
いつも通りのすまし顔で凛とした長女、きちんと一つに纏ったストレートなポニーテール。そして妹二人。
「ーーーあ、あの、こんばんわ」
「あ、あんたなん?」
多分、僕はこの唐突な出会いの塊を飲み込むだけの頑張り方を知らなかった。
薄くスライスするのも刃がかける。
「ちゃんと挨拶しーや」
母親から言われた僕は挨拶以外の持ち合わせが全く無かった。
あとはいいから
「なあー、一曲歌ったりー」姐ちゃんが長女に言った。
「ええよー」
音楽が始まる。イントロが流れ、声を発した刹那、光の衣を纏った歌声が舞い降りた。
本当に天使の声だった。僕は呆気に取られてしまい、いつもの鈍いのと真逆の涙目を浮かべる事になった。
天使って、おったんやね。
ごめんやけど、今だけは、みんな黙っててや。
今、この曲の間だけで、良いから。
あとはいいから。
とても強すぎる余韻が僕の心から退かなくなってしまった。もちろん、その日の出来事は、歌声が全てを飲み込んでしまった。
だって、僕は眼の前に舞い降りる天使の姿を見たんやから。
あ…
拍手、忘れてた
*ギュッってなる感覚、思い出してくれれば幸いです。
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さよなら鈍色、鮮やかな青い嵐 お く い (o ku i) @358TV
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