第6話 福笑い、世界の再起動
家族で福笑いをする。目隠しで、顔のパーツを置く。
だいたい変になる。鼻が額に行く。口が頬に乗る。
そして笑う。笑いすぎて涙が出る。
祖父が言う。
「正月に笑うのはね、今年一年の“顔”を先に作るんだよ」
子は、へんてこな顔を見て言う。
「これ、僕の今年?」
「そう。大事なのは、上手い顔じゃない。笑って始まることだ」
すると不思議なことに、その後の家の空気が軽くなる。
掃除もはかどる。挨拶が丁寧になる。失敗しても「まあいっか」が言える。
福笑いは、世界の再起動ボタンだ。
一年の最初に、完璧じゃない自分を笑えると、運は粘り強くなる。
最後に祖母が一言。
「縁起ってね、神さまへのゴマすりじゃないの。自分の機嫌を自分で取る技よ」
その日、家の玄関のしめ縄が少しだけ誇らしげに見えた。
福が渋滞するお正月 縁起短編集 Algo Lighter アルゴライター @Algo_Lighter
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます