1.碧はなぜ、事業所の長になったのか?
遡ること10年前。
当時勤めていた職場が閉鎖して、碧は失職しました。
しかも2つほぼ同時に。
当時から、五黄の寅の運勢ジェットコースターは健在でした(笑)
他の場所でも書いたことがあるので、ご存じの方も多いかと思いますが、私と蒼風は、元々大学の同級生で、同じ文芸サークルの所属でした。
当初はそれほど親しくなかったのですが、大学2年の時に、一匹の野良猫が碧のアパートの近所にフラッと現れたことにより、運命が大きく変わります。
この野良猫がやけに人懐っこく、初対面から足にすり寄ってくる、2回目で膝に乗ってくる、3回目で家に入ってくる、という調子で、どんどん距離を詰めてきました。
碧は猫を飼った経験はなかったのですが、実家で犬や金魚、鶏なんかを飼っていたので、動物には慣れていました。
なので、なんか自然に野良猫がウチにいる状態が定着してしまいました。
それを聞きつけて、ウチにやってきたのが蒼風でした。
蒼風は猫が好きだったものの、飼育経験がなかったので、野良猫に会う為にウチに入り浸るようになりました。
まぁ、私も蒼風とは話も合ったので、そのまま半同居みたいな形になり、大学が終わると、猫が待つウチに、2人で帰ってくるのが常態化しました。
そんなある日でした。
「こいつ、右目があんまり見えてないかも。」
蒼風が野良猫を見ながら、不意にそんなことを言い出しました。
蒼風曰く、猫の左側で手を振ると反応するのに、右側で手を振っても反応しないので、おかしいとのことでした。
原因は栄養失調によるビタミンA不足だろうと、当たりをつけた蒼風は、翌日にはキャットフードと水入れを飼ってきて、餌付けを始めました。
当時のアパートは、ペット飼育禁止だったんですけどね(^^;)
その甲斐もあり、猫の視力は回復しましたが、猫は完全にウチに居つくこととなりました。
そんな感じで、2人と1匹で寄り添い合いながらの大学生活が過ぎていきました。
そうして、大学4年になった時でした。
前回、少し書きましたが、私と蒼風は就職活動中にリーマンショックに遭遇するという、数十年に1回の不運に見舞われました。
新卒での就職を諦めた私達ですが、一応、教育系の大学に通っていたので、それぞれ地元へ帰って、非正規雇用で教育系の現場で先生をすることになりました。
ただ、処遇に困ったのが、あの野良猫でした。
2人とも地元へ帰ることへなったのですが、今更置いていく選択肢が私達にはありませんでした。
そこで、蒼風の実家で預かってもらうことになったのですが、やはりうまく馴染むことはできませんでした。
また、特に私が小説家になるという夢を捨てきれなかったこともあり、相談の結果、再び大学の付近へ戻り、猫共々2人で同居して、小説化を目指すことになりました。
まぁ、2人とも勤め人が向いてなかったというのも大きかったのですが。
流石は五黄の寅年生まれ(笑)
そうして、2人とも1年で職場を辞め、再び大学の付近に部屋を借りて、小説化を目指す生活が始まりました。
そして、猫にはクズハという名前がつけられたのです。
とは言え、仕事をしないと生活ができないので、碧は書店とコンビニバイトを掛け持ちすることになりました。
『執筆歴25年新人カクヨム作家の適当創作論』で、度々出てくる書店員エピソードは、この頃のものです。
そこから、4年半ほど、書店とコンビニの掛け持ちで生計を立てていたのですが、2015年になり、突如両方とも店舗が閉鎖することとなりました。
理由はどちらも経営不振による店舗閉鎖だったのですが、同じ時期になったのは、全くの偶然でした。
流石は五黄の寅だなぁと、当時蒼風とクズハに話していましたね(^^;)
それで次の職場を探していた時、たまたま募集していたのが、今の事業所でした。
当初、普通の平従業員として入ったのですが、経営者が私の小説活動に痛く興味を持ってくれまして、書店も閉鎖したのを機に、長の業務をやらないかとの提案がありました。
長として、事業所を管理してくれれば、コンテストの〆切近くなどは出勤しなくていいよう、取り計らってくれるということで、私としてはとても有難い提案でした。
ただ、前回も書いた通り、蒼風には反対されました。
それでどうしようか迷ったのですが、結局、蒼風の反対を押し切って、事業所の長を務めることとなりました。
ただし、あの時、蒼風の言うことを聞いておけばよかったかもなと、今は思っています…
当時、前任の長が急に辞めて、半年ほど放置されていたので、職場としてはあちこちに綻びがある状態でした。
ですが一応、教育現場の経験と4年余りの業種が違う小売りの経験があったので、職場をまとめること自体は、割とすんなりと出来ました。
そうして、職場がスムーズに回るようになり、売上も安定して伸びるようになったので、この10年間は本当に平和でした。
まぁ、細かい諍いはありましたし、不正行為で解雇した従業員もいたのですが、そのくらいのことは、どこの職場でもあるでしょう。
まぁ、職場の安定の割には、妙にそういうトラブルが多いと、本部の社員には言われていましたが(笑)
そうして、デビューは出来ないものの、生活は安定していた日々でしたが、勤め始めて丁度10年目になった2025年。
突如として、未曽有のトラブルが起こることとなりました。
そして、このトラブルが、事業所の運命を大きく変えることとなるのです。
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五黄の寅の事業所顛末記 蒼碧 @souheki
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