「無窮」

ふみその礼

第1話 「無窮」


限りないものには

名前は与えられなかった


この丸い墓場にいるものたちは

みんな尊くうつくしい

名前をもっている


手を伸ばす その先は

漆黒しっこく無窮むきゅう

信じることで

やっと聴きとれる

囁きがあるはずだった


でもわたしは

たくさんのたくさんの

いのちの海にいて


いちばん聞きたかった

となりにある

ちいさな命への愛を

聴きとることができなかった


だから


だから


自らを 


それをあかしするために

捧げたいと思った


ひょっとしたら


わたしが


この無窮なる世界が叶えられない


約束と願いを持って


生まれてきたのかもしれないと


そして


わたしは


この無窮のひとカケラとして


この名を呼ばれ


生まれてきたのかもしれないと


信じて

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

 「無窮」 ふみその礼 @kazefuki7ketu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る