後編 あなたのもとにも幸せがきっとくる
そのとき、助手がさらに青ざめて叫ぶ。
「は、博士! まさか未完成の装置を使われたのですか?
検証も不十分なのに、なんてことを……!」
博士は胸を張った。
「発明はうまくいっとる。わしは失敗しないのじゃ。
正月じゃからな。 ――むしろ、使わない理由がない」
その瞬間、左京刑事のスマホが鳴った。
〈全国各地で原因不明の祝賀ムード〉
〈事件・事故が激減〉
〈本日の逮捕者ゼロ〉
〈交番を訪れ、自首する人が激増〉
山田君が、ぽつりとつぶやく。
「……これ、
いい発明じゃないですか」
博士は、にやりと笑った。
「そう思うじゃろ?」
左京刑事は、ゆっくりと警察手帳を閉じた。
「……今年は、捜査終了だな」
その年の暮。
一番のニュースが、淡々と読み上げられた。
「今年は全国的に事故・事件が少なく、
奇跡的に平和な一年でした。
年々減少していた婚姻率は上昇し、出生率も回復。
絶滅危惧種と危ぶまれていたニホンアカチャンが、
各地で確認されています」
アナウンサーは、少し間を置いて続ける。
「次のニュースです。
お笑い芸人が流行らせた
『めでたいなあ~』が、
今年の流行語大賞に選ばれました」
テレビを消した左京刑事は、苦笑した。
「……誰も、
何が起きていたかは分かってないな」
窓の外では、
見知らぬ人同士が、笑い合って肩を叩き合い、拍手をしていた。
あなたのもとにも、幸せがきっときますよ。
(終わり)
祝い増幅装置~秋葉原博士の新発明~ さとちゃんペッ! @aikohohoho
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