祝い増幅装置~秋葉原博士の新発明~
さとちゃんペッ!
前編 左京刑事と相棒の仕事始め
元日の朝、左京刑事は大きくため息をついていた。
「正月早々、事件か……」
現場は秋葉原。
有名な発明家――通称・秋葉原博士の研究室だった。
「被害は?」
左京刑事が問うと、相棒の山田君が助手のほうを振り向いた。
博士の助手は、明らかに焦った様子で訴える。
「発明品が一つ、消えているんです。
祝い増幅装置です。昨夜までは、確かにここに……」
「……なんだ、それは」
「おめでたい気持ちを増幅させる機械です」
左京刑事は眉をひそめたが、博士本人は驚くほど落ち着いていた。
「盗まれてはおらん。 ちゃんと使われただけじゃ」
「使われた? どこで?」
博士は、無言で窓の外を指さした。
街は、異様なほどにぎやかだった。
知らない者同士が笑い合い、
通行人が高齢者に拍手を送っている。
あちこちで、お年玉袋が配られていた。
子どもが袋を受け取り、男に頭を下げる。
「ありがとうございます。 今年は、おじさんにもたくさんいいことがある気がします」
言われた男は、照れくさそうに、だが心からうれしそうに笑っていた。
「……博士、あれは?」
山田君が、青ざめた声で言う。
「祝いが、増えすぎただけじゃ」
左京刑事は、その言葉で全てを悟った。
「装置は……誰かに盗まれたんじゃないな」
博士は、満足そうにうなずいた。
(続く)
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