第2話

文学部の講義棟は学内で一番古く、空調の効きが弱い。聖は日の差す窓際を避けて、階段教室の前方に座ることに決めている。

 講義が始まればカーテンは閉まるのだが、それも窓際にいる学生の厚意だ。誰も来なければ教授たる先生が手ずから閉めて回ることになるだろう。

 このコマは選択科目で必修ではない。その割に人気があり、結構な人数の履修者がいる。聖は一年目に単位を取ったためここにいる必要はないのだが、この大学に美学の教授は一人しかおらず、何度聞いても無駄になる事はないからという理由で出席している。

 持ち回りの院生がプロジェクターの準備をしているのをぼんやりと見ながら、気がついたら手元のレポートパッドに落書きをしていた。

 文字の書き取り練習のようなことをしている。意味のある言葉は書かれてない。いや、一つだけあった。

 Hueという単語を覚えたのは先週のことだ。

 その後、仏像の展覧会と科学博物館の常設展に行ったが誰かに出くわすということはなかった。

 先生が教室に入ってきて、出欠確認のためのリアクションペーパーが配られた。

 先生はこれをきっちり読んでいるようで、聖の感想にも何度か反応してくれたことがある。

 プロジェクターはパソコンの画面を映し出す。美学概論、第十回と書いてある。

 静かな教室に微かにクリック音が響き、スクリーンの全面がぱっと青くなった。

「皆さんにとってこれは何色でしょうか?」

 誰も返事をしない。

「色覚特性がある人もいるでしょうが、これは青です」

 聖にも青く見えている。

「本当は赤の話をしたかったのですが、目が痛くなると悪いので青にしました」

 青い光には鎮静効果がある、はずだ。どこかで勉強した。しかし聖は背中がむず痒いような、落ち着かない気分になった。青い色は一緒にいてくれないというイメージが湧いて来る。

「本当に青かな? と疑う事は大切です」

 先生はもう一度クリックして、色の帯が何本も並んでいるスライドを表示した。

「どこから青で、どこから緑だと思いますか? グラデーションを途中で区別することが出来ると思いますか?」

「もう一つ、観点があります。この問いに正解はない。何故なら皆が見ている青が同じ青だと言い切ることが出来ないからです」

 この話は去年も聞いているはずだ。

 しかし聖は、今初めてそれを意識した。だから続く言葉に皆のように頷けなかった。

「光は加法混色、絵の具は減法混色です。皆さん知っての通り」

 先生は3色の光の輪を表示して、それぞれを動かして重ねた。

 中心が白くなるのを見て、聖は落ち着かなさの一端を掴んだ気がした。

 リアクションペーパーにボールペンを走らせる。

『光が集まると色がなくなるのは寂しいと感じます』

 その後の内容には集中出来なかった。

 寂しいなんて感情を持ったのは久しぶりだ。

 

 講義が終わると束の間、解き放たれた気分になる。廊下に溢れた仲間達が階段で渋滞を起こす。

 大人しく順番を待っていると、肩を軽く叩かれた。

 驚いて振り返ると、見知った顔が立っていた。

「榊原さん」

「高村くん、こんにちは」

「この授業出てたんですか、というか、先輩が部室以外の場所にいるの初めて見ました」

「編集委員はみんなここの学生だよ」

 聖は学内雑誌を編集する委員会に入っている。平たく言えばサークル活動だ。

「分かってますけど、これまで被ったことないじゃないですか」

「学部生と院生はね。三年になったら院ゼミも単位になるよ」

 榊原は眼鏡の細いフレームを指で押し上げた。シンプルな形だが、赤い。聖は榊原と特別親しいわけではないが、服装にこだわりがある人だと認識していた。

「教授のゼミ、何読んでるんですか?」

「カント」

 聖は肩に重い荷物がのしかかるような感覚を覚えた。榊原は聖を買い被っているところがあるが、ドイツ語の成績は中の中というところで、不安が強い。

「難しそうです」

「うん、でも、楽しいよ」

 榊原の横顔からは、美学が好きでたまらないという気持ちが読み取れた。もしかしたら勉強そのものが好きなのかもしれない。知り合って一年半になるし、しょっちゅう部室で顔を合わせているが、底の知れない人だという第一印象は拭われるどころか深まるばかりだった。

 

 玄関のドアを開けると、ヒヤリとした空気が身体を包んだ。

 母親がまたエアコンを入れたまま外出している。

 それが聖への愛情である事は分かっている。暑い中を帰って来た息子に涼を与えたいのだろう。

 リビングでエアコンを切ると、ダイニングテーブルに書き置きがあるのを発見した。

 おばあちゃんに呼ばれたので出かけてきます、と書いてある。

 母親は普段メールの類を使わない。紙に手で書くのが好きなのだと言っていた。

 母方の祖母は茶道の先生で、聖も何度か習った事があるが、今一つ馴染めなかった。

 しかし、所作の美しさを重んじる態度には共感するところがある。祖母との関係は悪くない。

 父親は出張で今晩は帰ってこないし、母親はいつも通りなら祖母と食事をしてくるだろう。

 つまり何か作るか外に出ないと夕食にありつけないという事だ。

 時計の針は七時前を指していて、まだ店は開いているからいくつか保留にしていた買い物が出来る。

 聖は街に出ることにして、その前に自室に戻り、鞄の中身を整理した。

 鞄のポケットに予備のボールペンがあるのを確かめる。

 赤入れ中の記事のプリントアウトは後でチェックすることにして、そのまま入れておく。

 レポートパッドから書き込んだページを剥がして講義毎に分けたクリアファイルに挟む。

 落書きしたページは丸めて捨ててしまおうとしたが、心に引っかかって再び広げた。

 聖は自分がこだわりを持ってしまったことを自覚した。願掛けのようなものだ。この言葉を覚えていれば、また会えるかもしれない。そういう気持ちになってしまったのだ。

 

 夜の街は人が多くて、駅ビルの飲食店には入れそうにもなかった。

 少し離れてフルーツパーラー、団子屋、夜パフェ専門店と足を向けるがどれも夕食にはならないと気付いて悩み始めた。

 甘いものが好きだ。気が立っている時には特に、ささくれ立った心を鎮めてくれる。

 画材屋の前を通ったのは意図してのことではなかった。

 道路を渡ったら、あったのだ。

 それが画材屋だと認識したのは、ウインドウにイーゼルが並んでいたから。そしてウインドウに目をやったのは、その前に青い髪の人が立っていたから。

「菜摘」

「おや、誰かと思えば」

 菜摘は大きな包みを抱えて、顔だけこちらを向いて見せた。

「連絡先聞かなかったから、もう会わないかもと思ってたけど」

「会えたね。ちょっと立て直すから待ってて」

 長い筒状の荷物は重いようで、菜摘は勢いをつけて抱え上げた。

「それ、何?」

「キャンバス。セール中でさ」

「重そう。何か持つ?」

 しかし菜摘は鞄を身につけておらず、手伝えることは何もなかった。

「今度こそお茶しようよ。そこの地下にカフェがあるよ」

「いいけど、大丈夫?」

 聖には様々な意味で心配だったが、菜摘は不思議そうに目を瞬かせた。

「何が?」

「いや、いいや。カフェ、席あるか見て来るね」

「ありがとう」

 

 夕飯はパスタになった。それから、珍しくて頼んだルイボスティー。

「聖、俺のID、これ」

 菜摘はココアの乗ったトレーをテーブルに置くとスマホを取り出してメッセージアプリを開いた。

 隅の席が開いていたので、キャンバスのロールは壁に立て掛けることが出来た。

「あった、友達申請したよ」

「うん。オッケー。適当にスタンプ飛ばして」

 聖は少し悩んで忍者が頭を下げているスタンプを押した。

「あはは、思った通り、面白い人だね」

 受けてよかった。聖は胸を撫で下ろした。

 菜摘のアイコンは海と空の写真で、グラデーションが美しかった。

「夕焼けが好き?」

 菜摘は聖のアイコンに言及した。偶然にも聖の方は、夕焼け空の写真だ。

「綺麗に撮れたから。菜摘も空、好き?」

「上手く描けたから。空っていうか、青が好きなんだよね」

 聖は驚いてアイコンを凝視した。

「え? これ、絵なの?」

「そうだよ」

 菜摘はスマホを操作して写真を見せてくれた。拡大して見ると、確かに筆の跡がある。

「上手いなあ。すごい」

 絵に対してというより、画面をタップする指に絵の具が付いていることに感激した。

 絵を描くという行為は聖にとっては特別な事で、特別な人にしか許されていないように感じていた。

「嬉しいな。聖と友達になりたかったんだ。俺の知り合いにあんまり理論家はいないから」

「俺も画家の知り合いは初めて」

 聖はあまり見るのは失礼だと思い、意識的に視線をパスタに戻した。大葉が乗っている。

 菜摘は目を見開いて聖を見つめた。

 まずいことを言っただろうか。不安になったのも束の間、菜摘はふわりと笑った。

「画家って呼ばれるの、照れるな」

「学生だから? でも、絵を描く人は画家でしょ」

 聖は自分の認識が無邪気すぎるかもしれないと気付いたが、菜摘は意を決したような顔で宣言した。

「うん。俺は、画家だよ。聖は?」

「え? 俺は……」

 水を向けられて焦る。大学生である事を除けば、自分が何者であるかなんて考えた事がなかった。

「俺は、なんだろ……」

「美学者?」

「そう名乗るには勉強が足りないよ」

「文学者?」

「哲学は文学じゃないからなぁ」

 口にしてから、聖は自分が面倒な観念を持っている事を初めて知った。

「じゃあ、哲学者」

「哲学徒」

 それならば畏れ多さは薄らぐ。

「いかつい言葉があるんだね」

 菜摘は両手でマグカップを持って一口ココアを飲んだ。

「普段使う言い方じゃないけどね」

 聖は大葉を避けてパスタをフォークに巻き付けた。

「しかしそうか、美学って哲学なんだ。難しいわけだね」

「哲学が全部難しいわけじゃないよ」

「そうなんだ。よかったら教えてよ」

 菜摘は本気で言っているようだったが、だからこそ聖は悩み始めた。

「だめ?」

「ううん、俺が何を教えられるんだろうって……」

 先生や先輩のように知識を蓄えられているだろうか。聖は突然不安に襲われた。

「聖って考え込んじゃうタイプ?」

「普段はこうじゃないんだけど……」

 沈黙が落ち切る前に、菜摘が口を開いた。

「なんか、ごめんね。話題変えよう」

 聖は冷め始めたパスタを口に運んだが、味はよく分からなかった。

 菜摘の話は面白くて、意識が全部そちらに振り向けられた。

 話題は一貫してこの間の美術展の作品についてで、実際に描く人の視点から語られる感想は興味深かった。節々で出て来る青の印象の話に、本当に青が好きなんだなと思った。

 合間合間で相槌を打って、時折質問に答えたりしながら食事を終えると、菜摘のカップも空になったようだった。

「悪い意味じゃないんだけど、話すの上手いね」

「絵を描いてるのは言葉にするのが苦手だからって人が多いけど、俺はどっちも得意っぽいんだよね」

 菜摘は気取りなく淡々と述べた。聖にはその態度が潔く感じられた。

「天に二物を与えられたタイプだ」

「でもまだコントロール出来なくて。やりすぎることが多い」

 聖はお世辞は言えない。菜摘の方も、聖の言葉をまっすぐ受け止めてくれているように思った。

「言いすぎるとか、集中しすぎるってこと?」

「そう。だからあまり評価は良くない」

 菜摘は自分の言葉で何かを思い出したようで、スマホを見た。

「おっと。時間大丈夫?」

「うん。でも、食べ終わったし出ようか」

 聖は食器を返却台に戻して、キャンバスを引き摺りそうな菜摘を手伝った。

「重。これ何キロあるの?」

「知らないけど、十キロくらいじゃない?」

 持てない重さではないが、腕に来る。階段を上がるのは少しきつい。

「帰り、階段ない? 一人で大丈夫?」

「駅の階段上がって、坂登るだけだから大丈夫」

「ずっと上りじゃん。手伝うよ」

 菜摘の告げた駅がそこまで遠くなかった事もあり、聖は階段に差し掛かるとキャンバスのロールの後ろを支える係になった。

 到着駅で降りる人は多くなく、改札を通って階段を上がり、道路に出ても人通りがない。夜の住宅地という感じだった。

「ほんとに坂だ」

 駅の前には見事な傾斜が続いている。

「ありがとう、もう平気」

「ここまで来たら、家まで送ってくよ」

「そう? ありがとう」

 聖はキャンバスの尻尾を抱えた。菜摘は頭を持っている。二人で長い猫でも運んでいるような感覚になり、愉快だった。

 道のりは意外と長く、菜摘は黙っていた。

 聖は自分の思考に没入したが、次に立ち止まった時、何を考えていたのか思い出せなかった。大した事ではなかったのだろうと思った。

「着いた。ここの三階だけど、エレベーターあるから」

 周りと似たような高さのマンションだ。菜摘はポケットから鍵を引っ張り出してエントランスの自動ドアを解錠した。

 エレベーターを待つ間にキャンバスは回収されてしまい、聖は少し寂しい気分になった。これは生き物ではないのに、散歩でもさせているように錯覚していたから。

 今やキャンバスを肩に担いでいる菜摘に続いて廊下を歩き、ぶつからないように用心して促されるまま先に部屋に入った。

 カーテンが閉まっていて暗い。

 菜摘が玄関に入り、電気のスイッチを付けた。次いでエアコンのリモコンの音がした。

 ぱ、と明るくなった光景に目が慣れるのに少し時間がかかった。

 最初に見えたのは空色のカーテン。紺のベッドカバーに、海色のラグ。

 青が好きと言うより、これは。

「やっぱりやりすぎ? 俺、青に執着があるのかもな」

 聖は何も言えなかった。菜摘から自嘲の気配を感じる。驚いたのは確かだが、それだけだ。不快になったわけでもない。なんとしてもそれを伝えなければならないと思った。

 菜摘はベッドの横の壁にキャンバスのロールを立て掛けた。

 本物の沈黙が訪れたが、聖はそれを押し破った。

「俺の部屋はカーテンが緑で、ベッドカバーはグレー。床はフローリングだから木目」

 菜摘は少し驚いた様子で聖の言葉の続きを待った。

「家族が選んだものだから、疑問に思った事もなかったけど、菜摘みたいに好きな色を選んでもいいんだって気付いた」

 眼鏡の奥の目は見えなくて、表情が読めない。

 聖は緊張で胸が痛むのを感じながらその場に立ち尽くしていた。

「あ、ごめん、座って。家に人呼ぶのって初めてで……」

 菜摘は我に返った様子でクッションを床に置き、聖の場所と指定した。

 ロイヤルブルーで房飾りのある高そうなクッションだった。

「冷蔵庫空なんだよな、昨日材料全部使っちゃって」

 広めのワンルームの部屋の角に一人暮らしにしては大きな冷蔵庫があり、菜摘は覗き込みながら呟いていた。

 聖はようやく自分のペースが戻って来たのを感じながら改めて部屋の中を見回した。

 小さな本棚には画集と思しき本が詰まっている。

 大小様々なキャンバスが床に散らばっている。何が描かれているのかと目を凝らすと、菜摘に呼ばれた。

「聖、アイス食べる?」

 冷凍庫で発見したらしきカップアイスが差し出され、バニラと抹茶、どちらが良いか問われているようだった。

「うん。あの、抹茶がいいな」

 

 菜摘はぽつりと話し始めた。

「このロール、十メートルあるんだけど、いつも使い切れるか不安になるんだ」

 十メートルの空白を埋める。聖は状況を置き換えて想像した。レポートパッドに文章を書き続けるようなものだろうか。

「でも、使い切ったから買ったんでしょ? 今まで何本使ったの?」

「ロールで買い始めたのは大学に入ってからで、まだ二本分終わったところだよ」

「二十メートルも描いたってことだろ。すごい実績だよ」

 聖にはまだ想像しきれないが、広い壁を菜摘が縦横無尽に動き回って色を塗るイメージが湧いた。

「キャンバスを張りながら、今回はちゃんと描けるかな、と思うんだ。入賞したいわけじゃないけど、自分に嘘をつかずに描けるかって、心配してる」

「自分に嘘をついちゃいけないの?」

 菜摘のスプーンがはたと止まった。

「ごめん、全部の可能性を検討したくて」

 嘘はつくべきではない。道徳的に言えばそうだ。聖は掬いかけたアイスをカップに戻した。

「予備校の先生に教わって、自分の物になるまで大事に持ってる言葉なんだ」

 菜摘も木のスプーンをカップに刺して聖の目を見た。

「小手先の技を使っても、自分に嘘をついてたら見る人には分かるって」

「それは、具体的にはどういう事? 分からないんじゃない。知りたいんだ」

 聖は誤解を生まないように慎重に言葉を紡いだ。

「たとえば、画面に黄色を置きたいと思っても、全体の調和が崩れるかもしれないから、やめたとするだろ」

 菜摘の話は分かりやすい。聖は頷いた。

「後々になって、崩した方がいい調和だったって思うんだ。素直に黄色にしておけばよかった。それに、展示してから気付くんだよ」

 アイスは溶けかかっている。エアコンのパワーが外の暑さに追いついていない。

「自分で分かってるのに、他人から指摘されたりしてさ。そんなことばっかりだよ」

 わずかばかりの愚痴に、同調するのは簡単だったが、聖にはそうした経験がない。同意を示すのは不誠実だという気がした。

「何て言えばいいか分からないけど」

「悪い、弱音を吐きたかったわけじゃないんだ」

「つまり、自分に嘘をつくと誰かにばれるってことだよね」

 聖は自分の探究心が悪い方向に向いているのを感じた。

「誰にもばれなければ嘘にならないんじゃない?」

 菜摘は思慮深い眼差しで聖を見つめている。

「それは、自分のこと?」

 聖は肩が震えるのを感じた。

「あれ? ごめん、よく分からないや……」

 気分が急速に落ち込むのが分かる。場を凌ぐために口にした抹茶の苦味がやけに際立っている。

 会って数時間の相手に、何故こんなに自分を開示してしまったのだろう。菜摘が自分のことを話してくれたから、フェアじゃないと思ったのかもしれない。

 違う。

「君には何でも話したくなっちゃう。言われない?」

「言われたことないよ」

 否定の言葉だが、冷たくはなかった。

「話し相手が必要なら、いつでも呼んで。アイス溶けちゃったね」

 菜摘は液状になったアイスをスプーンで掬うのを諦めて、キッチンに持って行った。

 聖は食べ切ったので、空のカップを潰してスプーンを包み、ゴミ箱に入れた。

「駅まで送る。ありがとうね」

 聖は断ろうとしたが、菜摘は既に靴を履いていた。

「じゃあまた。おやすみ」

 坂を下って駅まで来ると、菜摘は改札を通る聖に声をかけた。

「うん、おやすみ。またね」

 電車が来るとアナウンスがあり、菜摘はひらりと帰って行った。

 聖はその背中を見ていたが、この電車に乗るべきだと気付いて急いで階段を降りた。

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2026年1月17日 21:00
2026年1月24日 21:00
2026年1月31日 21:00

青のクオリア 杢田 @philo1129

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