お餅は食べ過ぎないようにしましょう。ね

 初夢っていつ見る夢なのか、諸説ある。

 ブラウザさんに聞くと『新年最初に眠った日の夜から、朝にかけて見る夢』だそうだ。1月1日から1月2日の朝にかけて見る夢っていう人もいるし、大晦日の夜から1月1日の朝にかけての夢だっていう人もいる。

 俺は1月1日の夜から見た夢だと思っているから、今見ているのも、たぶん初夢なんだ。


 廊下に餅が落ちてる。

 今日の昼に食べたのと、たぶん一緒の奴だと思う。

 でも、なんで廊下に落ちてるんだ。なんで俺、廊下にいるんだろ。

 あぁ、そうだ。トイレに行こうとしたんだ。トイレに行こうとして、部屋のドアを開けて少し歩いて、坪井の部屋の前を通って、そして餅を見た。

 餅は潰れて、ところどころ切れそうに伸びている。

 目が暗闇に慣れてきたら、少し湿ってる感じもした。

 いや、でもなんで餅? しかも、よく水族館の貝とかナマコとかが動くみたいに動いてるんだ。坪井の部屋から玄関の方に移動しているように見える。

 ……坪井?

 坪井の部屋のドアを開けた。

 そこには坪井が寝ていた。仰向けだ。

 坪井の口や鼻や目や耳からどろっどろの白い粘液がゆっくりと流れ出してた。

 粘液はベッドシーツを伝って床に落ちて、少しずつ集まった。

 そして、さっき見た廊下の餅みたいに玄関を目指していた。

 粘液は止まることなく、ゆっくり坪井の中から出ていた。坪井はピクリとも動かないで粘液を出していた。

 俺はドアを閉めてトイレに行った。

 廊下のモチモドキを踏まないように跨ぎ、自分の部屋へと帰る。

 これは初夢だ。だって1月1日の夜に見てるもの。

 夢だ。夢だ夢だ夢だ。

 目が覚めたら、現実が待ってる。そしてわかる。

 俺たちが食べたのは確かに雑煮だったんだと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

お雑煮は新たな門出を祝うお祝いのお料理です 蓮村 遼 @hasutera

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画