第6話 出版、そして重版!

 その年の7月3日。


 ついに待ち望んでいた、書籍出版の日だった。

 事前に編集部より見本として数冊送ってもらっていて、そのときに


「ああ、ついに本になったんだな……」

 と感慨深いものがあったものの、この時点でもまだ信じられない気持ちだった。

 やっぱり、本屋に並んでいるのをこの目で見てみないと!


 ネット通販でも購入できるようになっていた。

 電子書籍版も、購入してすぐに読めるようになっていた。

 けど、けど。

 やっぱり、本屋に並んでいるところを見てみたかったのだ!


 この日の夜、残業を終えて、はやる心を抑えながら本屋に向かったものの……ない!

 実はちょっと、そうかもしれないな、とは思っていたのだ……僕が住んでいるのは地方だったので、実際に店頭に並ぶのは1日遅れることが結構あったのだ。


 なので、これは想定内。

 けど、ひょっとしたら、取り扱ってくれないんじゃないかな……。

 そんな懸念を抱きながら、翌日、再度その書店を訪れてみると……あった!

 数冊だけど、新刊として、置いてくれていたよ……。


 感激。


 ラノベコーナーを歩く人に、手に取ってくれないかな、買っていってくれないかな、と、書店内をうろつく不審人物となって見ていたものの、さすがにそれはなかった。


 また、「これ、僕が書いた本なんですよ!」と言いたかったけど、それも自重。

 ともかく、これで作家デビューできたんだな、という実感が湧いてきた。


 そして、全国の書店のSNSでも、入荷案内に続々と掲載されており、それらをニヤニヤしながら見ていたのを覚えている。

 でも、近所の書店に置いてくれているのはほんの数冊で、残念ながら他の系列店には置いてくれていなかった。


 そこで、自分で案内のメールを送ってみた。

 自分がこの地方在住であること、この本がデビュー作であること、取り扱いを増やしてくれたらありがたい、というようなことをお願いする、一種の営業メールだった。


 すると、応援してくれる、とのメッセージが返ってきた!

 喜んで近所の店に行くと、特設コーナーを設置してくれることになり、とりあえず在庫の数冊をPOPをつけて並べてくれた!


 感謝、感激!

 その場面を、同僚の一人に見られてしまい、ちょっと照れ臭かったけど (宿敵のYではない)。

 さらに、在庫も増やしてくれるということだったが、数日後、思わぬメールが返ってきた。


「出版社に在庫がないということです」


 ???


 まだ発売されたばっかりなのに……。

 そして、編集部からさらに驚きのメールが!!


「売り上げ好調なので、出版社に在庫がなくなり、重版される予定です!」

「ええっ!!!」


 ……とはいっても、この時点でもいつもの半信半疑。

 しかし、とある公式SNS上で僕の小説について、


「重版決定!」


 と、具体的な発行部数と写真入りでアップされていて、某巨大掲示板などでもちょっと騒がれているのを目撃!


 7月3日に発売されて、7月17日に重版決定の報道。

 実家に電話したり、兄弟にLINEで連絡したり、職場に印刷して持って行ったりと、狂喜乱舞状態だった。


 さらにここからはしばらくは、有頂天モードが続くのだった。


(そのうちに現実を思い知ることになりますが……)

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