第2話 受賞の瞬間

 僕の小説は、「ネット小説大賞」など、いろんな文学賞で最終選考まで残ったことが何回かあった (今回書籍化された作品以外も含めて)。


 しかし、受賞に至ったことは一度もなかった。


 だから、この時も、一次選考は通過していたものの、主催者から何の事前連絡もなかったこともあり、半分あきらめていた。


 そんな中で、その投稿サイトに「小説コンテスト最終選考結果発表」の文字が表示されているのを見て、


「ああ、今回もダメだったか……」


 とため息をつきながら上から順番に受賞作を見ていった。

 最終選考に残っている作品は、全作品、少なくとも第一話はすべて目を通していたので、


「ああ、やっぱりこれが受賞したのか」


 などと考えながら眺めていると、最後の一作に、一番見慣れた作品のタイトルが。


「はふぇ?」


 数秒間、理解が追い付かなかった。

 それは、間違いなく、自分が書いた作品のタイトルだった。


「えっ……受賞した!?」


 思わずそう声にしたのを鮮明に覚えている。

 そして特集ページのリンクをクリックすると、僕の作品に対する評価が書かれており、ここで初めて、本当に受賞したのだと理解した。


 賞金を伴う文学賞を受賞したのは、人生で初めてだった。

 さらに、サイトでの発表から少し遅れて、その日のうちに主催者からメールが届いた。

 ここでようやく、受賞の実感が湧いてきた。


 とはいえ、この時点ではまだ「書籍化検討」だった。

 実際に出版が決まるまでは、いくつかの試練と、さらに数か月の時間を要することになるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る