第5話
衛兵に両腕を担がれ、退場していく公爵たちを目で追っていた時、思念通話が聞こえてきた。
「カイル様?」
「ああ、セレナか」
「例の貴族の息子たちですが……」
僕を虐めていた時に、ジュリアスと一緒にいたふたりのことだと理解する。
「うん、どうした?」
「ちょっと、薬が強すぎて……廃人になっちゃいました。てへっ」
てへっ……じゃないだろ。
「うーん、本当は薬漬けにして、僕の手ごまにしようと思ったのだけど、仕方ないな。ちゃんと廃棄しておいてね」
「わかりました。おまかせくださいね」
そう言って、思念通話は切れる。
「それにしても、これはスゴイですね」
荒れ果てた部屋を見回していて、呆れたような顔を見せるガラム。「ゴメン、なんとか誤魔化して」と僕は笑った。
「問題ありません。あとはこちらでお任せを」
一礼すると、ガラムと衛兵たちは引き上げていくのだった。
「娘イライザの横領罪はアルアイン王子のでっち上げだ」というウソを世に広め、王家の権威を失墜させようとした反逆罪――それが公爵たちの罪状だ。ニセの密約書を衛兵が入手したことで発覚したことになっている。もちろん、あの密約書は本物だったのだが、それを逆手にとったのだ。アルアイン王子も、あの密約書を自分が書いたと認めたら大変なスキャンダルになってしまうと理解している。したがって、王子も『ニセモノ』だと証言した。つまり、王子も公爵を見捨てたのだ。
こうして、拘束された公爵家の三人だったのだが……
「獄中で死んだ?」
オズワルド、エリザベート、ジュリアスが服毒自殺した――という報告をガラムから受けた。
「アイツらが自殺なんかするはずない……だとすると……」
「はい、どうやら、衛兵組織内に、私たち以外の何者かが潜入していると思われます」
ガラムの見識に、「そのようだね。それも調べてもらえるかな?」と僕は頼む。
「御意!」
「ノワール、ゴメンね。三人には、自分たちの犯した罪を身をもって知ってから死んでもらうつもりだったのだけど……」
こんなにあっさりと死なせてしまったことを彼女へ謝るのだった。
「いえ、私に謝罪する必要などいっさいありません。こうして、私――いえ、イライザの無念を晴らしていただけただけで充分です」
彼女がそう言うので、僕はクスッと笑う。
「何を言っているんだい? キミの復讐はまだ終わっていないだろ?」
「と、申しますと……ま、まさか……」
「次のターゲットはアルアインだ」
その発言に、ノワールは目を丸くする。アルアイン、ウィルハース王国第二王子――イライザの婚約者であり、イライザを無実の罪に陥れ処刑した、あの男だ。
「し、しかし、王家を相手にするのは、リスクが高すぎます!」
自分のために、そのような危険を冒す必要はない――そう彼女は言うのだが――
「そうか、まだキミには話してなかったんだね」
僕はあることを伝えた。それは僕の過去――
この国を、この世界を憎むに至った経緯を……
「――ま、まさか……いえ、失礼しました。やはり、カイル様にお仕えできたことを私は誇りに思います。これからも全身全霊を尽くして、お仕え申し上げる所存です」
「うん、ありがとう」
そう、僕の復讐はまだ始まったばかりだ。
<終わり>
この作品はカクヨムネクスト賞向けのダイジェスト版です。
「面白い」「もっと読みたい!」そう思っていただけたら、★をお願いします!
【短編】つよつよヒロインを従えたオレは裏社会に君臨する~マフィア三代目は世界の全てに復讐を誓う~ テツみン @tetsuminikomiki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます