第8話

「先輩、好きなタイプは?」

仕事に慣れて、余裕ができた後輩からの恋バナだ。ため息をつく。

大学を卒業して、社会人3年目。恋バナより婚活の話が盛り上がるようになってきたことに、自分の年齢を感じる。

なにやら風の噂によると、私が大学時代に恋焦がれていた相手は結婚したようだ。少なくとも友人ではあったはずだけど聞いてない。


後輩は話を続ける。


「多趣味だし、出会い多くないですか?」

「でも茶道とか俳句とかが好きならちょっと同年代は少ないとか?」

「季語?とかですよね!春って恋猫って季語があるんですって!響きが可愛くないですか?」


よくしゃべる。聞き上手と思われがちだけど、私は話を聞いてもらう方が好きだ。


「紳士な聞き上手が好きかな。」

とだけ返す。

「うわぁ、っぽい〜!」

思っているのかいないのか。後輩はそんな返事をしていた。


もう一度、ため息をつきながら、外を見る。

春は過ぎて、葉桜の緑が眩しい。

恋猫、私に恋をしていた『猫さん』。


『彼』の恋に季節なんてなかった。

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猫の季節 荒田みやび @Myabi-Arata

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