第7話
『猫さん』が衝撃の告白をした日以降、公園に行っても『猫さん』に会うことはなかった。
猫は死ぬときに飼い主に姿を見せないようどこかに行くという話を思い出した。
「私、飼い主じゃないんですけど。」
と公園で独り言をいう。『猫さん』がいつものように出てきてくれることはなかった。
ブランコに乗ってみる。『猫さん』と話しているときは漕ぐことがなかったブランコは結構錆びてるようで、漕いでみると、軋んだ音がした。
公園は近々、改修工事をするらしい。住宅地も近いし、綺麗にすれば、子どもたちのいい遊び場になるだろう。
『猫さん』が私を「好きなひと」と言ったその日、私は初めて聞き役になった。
『猫さん』は初めて色んなことを話してくれた。
私を前から知っていたこと。私と話をしてみたいと思ったこと。私には好きな人がいて、相手は女性なのも知っていたけど、私が嬉しそうに話すならそれだけで良かったと思っていたこと。
人にも告白されたことがない私が猫に告白されるなんて考えたこともなくて返事に困った。
困っている私を見て、『猫さん』は「返事が欲しいわけじゃない。」と言ってくれた。
なんだか苦しくって、喉がぎゅっと絞まるような声になってしまったが「恋じゃないけど『猫さん』のこと、好きだよ」とだけ返した。
表情は分からないけど、『猫さん』はこちらを見てゆっくりと瞬きをしていた。
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