第20話 『 面影 』
カイの面影を追ってきた。僕が臨終のキワに彼にかけた言葉は「ありがとう」だった。それは他でもない、カイが僕と女房の人生に割り込み(文字通り!)、そしてより豊かにしてくれたからだ。僕がこの随筆を通して読者に分かってもらいたかったのはこの一点に尽きると思う。
確かに命には別れがある。出会った瞬間からそれは十分に予見される。しかし僕らはお互いが働きかけることによって、生死を超えた思いを共有できると思う。これは体験した者でなければ分からない感覚かも知れない。僕自身、カイと出会い、別れを経て感じていることだ。それを哀しいと思うか、喜びと捉えるかはその日によっても違う。そしてそれで良いと思う。
夢中だったんだなと思う。単純に可愛かったのだ。それは本当に幸福な日々だったと僕は断言できる。
『 カイの事など 』 桂英太郎 @0348
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