第19話 『 今 』
しばらく前から新しく猫が飼いたくてたまらないでいる。もちろんそれでカイの代わりにしようと云うのではない。これはおそらく僕個人の都合だ。単純に「それでも猫を飼いたい」という気持ち。これは仕方がないと思う。家にはメルと云う犬がいるが、やはり犬と猫では違う。僕はやはり「猫を飼いたい」のだ。
女房からは「今はダメ」と釘を刺されている。その理由は母親の横暴さだ。猫に無理強いし、相手の都合にはお構いなしの態度が新しい猫には酷だと云うのだ。それには僕も納得せざるを得ない。家の母親がその性分を変えることはおそらく不可能だろう。例えば息子である僕が母親のせいで命を落としたとしても、彼女はそれを自分の責任として受け止めることはできないと思う。受けとめる力を鍛えてこなかったのだ。他人には必要にそれ以上の事を要求しておきながら。だから相手がモノ云わぬ猫の場合、被害は陰惨なものになるに決まっている(少し大袈裟に聞こえるかも知れないが…)。
と云うわけで、今は専らネットで猫動画を見て堪えている。よそ様の猫を見て特に羨ましいと思うことはない。単純に、ただただ可愛いと思う。ついニヤけてしまう。たまにカイに似た猫を見掛けると「おっ」となってしまう。そして感心する。こうやって命と云うのはどんどん引き継がれていくのだなと思う。
そうだ。猫を飼うと云うのは、基本的に「眺める」ことなのだ。命が生まれて、成長し、年老いていく様をその都度関与しながら眺めていく過程なのだと思う。猫はだからこそ「我関せず」を通す。つまりお互いの丁度良い距離感が何より大事なのだ。
僕は、もうしばらく出会いの縁を待ってみようと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます