第15話 この街を出よう
……。
……。
「さっさとこの街を出よう!!」
起きて早々一番感じたことを口に出した俺だがこの街近郊に召喚されてからというものの運が悪すぎる。自宅警備員とかいうクソみたいなスキルをもらい死にかけ、街に着いたはいいけど1文無し。
何とか入れるようになったが気絶し、ギルドに借金してしまう。これは明らかにここに何かしらの悪運が滞っているに違いない。
金、武器が無いのでここの街から出るには少しかかりそうだが、さっさとこんな街出て行ってやる!!
そう決めて布団を退かしベッドから起き上がると女神メールが来ていたことに気づく。どうせ借金をさっさと返せとか文句を言ってくるだけだろう。はぁ。めんどくさいけど一応開けとくか。
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この世界での金銭感覚を覚えてもらうために簡単な測りを教えますね。銅貨が10円。大銅貨が100円。銀貨が1000円。大銀貨が10000円。金貨が10万円。大金貨が1000万円。白金貨が1億となります。この世界では命のやり取りがあるということで物価自体が非常に安くなっている傾向にあります。今回の宿屋がそのいい例です。この世界では1ヶ月に金貨を稼ぐ冒険者がいればそれだけで凄腕扱いされることを忘れずに精進してくださいね!!
ピロン!!
おっ。続きか?
27件目
めんどくさいってなんですか!! 今回素晴らしい情報をわざわざ教えたというのにこんなことを言われるなら今後いい情報おしえませんよ!! もう少し私のことを敬うべきです!! 私は女神ですよ!! 女神!! ただの行先案内人ではありません!! しっかり肝に銘じなさい!! それと、いつまでも女の子と一緒に活動せず1人や男性と一緒に行動しなさい!!
……。
うん。やっぱりめんどくさい。
はぁ。とため息をつきながらご飯を頂きに1階に降りるが冒険者達が誰1人おらず受付カウンターで何かやっている従業員の方しかいなかった。
?
「何かご飯を食べたいのですが、大丈夫ですか?」
「ああ。今の時間なら冷めちまってるが大丈夫かい?」
「お願いします!!」
俺は席に着くと、受付にいたおばちゃんがパンと野菜が沢山入ったスープを出してくれる。スープは湯気が出てないものの冷めても美味しそうだ。
「銅貨5枚だよ。」
俺は大銅貨を1枚渡し5枚お釣りを頂いてからご飯をいただく。
異世界に来て2回目の食事。よし、食べるぞ!!
まずはパンからだな。……。かた?!何だこの硬さは、防御力が高すぎる!! これはスープに浸して柔らかくするってことなのか?
スープにひたすらと浸した部分が少し柔らかくなってスープの旨みをすい美味しくいただけた。ごはん時には温かいスープとの事だが、それを考えると相当美味いだろう。
ギルマスがおすすめするだけあるな。ペロリとご飯を食べ、受付のおばちゃんに食器を渡した後俺はその足で宿屋を出てギルドに向かった。
ギルドは俺が初めて来た時と比べられないほど人がいない。以前ならごつい冒険者がこれでもか? と思うほどいたが時間が時間なのだろうか?
とりあえずクエストが貼られている壁に向かって色々見てみるが……。
……。俺が受けられそうなものはない。魔物の討伐。近くにオーガの巣ができたので討伐。薬草探し。ここから馬車で3日いったところだが、馬車代は持ちません……。
?! 護衛依頼!! 商人を商人の街まで護衛。魔物が余りでない街道なので初心者でも大歓迎!! 全員で5人ほど希望。全員でということは俺みたいなソロ活動冒険者でも受けられるということ。この街を離れるには本当に持ってこい。と言わざる得ないクエストだろう。
よし!! これに決めた!!
俺は受注されている紙を取り受付嬢がいる元へと向かう。
「お願いします!!」
「はい、こちらのクエストですね。では、ギルドカードをお願いします。」
「はい。」
俺はギルドカードを渡すと受付嬢はギルドカードとクエストの紙をくっつける。するとギルドカードが光小さな魔法陣が出現すると直ぐに消えていき受付嬢はその後俺にギルドカードを差し出す。
「受注完了しました。こちらは明日の朝集合となっておりますので気をつけて行ってくださいね。もし、遅れた場合はクエスト失敗とみなし罰金が生じるので早めに集合場所に到着することがよろしいと思います。」
「ありがとうございます!!」
最近薄々気づいていたが多分この世界には時間という概念がないっぽいのだ。どこにも時計がない上に先程のギルド職員の言い方。普通なら何時頃にどこどこへ。と言うしクエストにも書いてあるはずだが朝方としか書かれない……。本当に厄介だ。
明日はあさひが登る前集合場所に着くようにしないとだな。
俺はギルドカードを受け取りギルドを出ながらそんなことを考えながら特にどこに行くということでもなくただただ歩いていた。
それにしても、俺の他に4人か……。俺はスキルが使えないがそこそこ強くなっているはず。レベルアップする事に倍のステータスになっているのだから今ではスキルを使わずともゴブリンなら倒せるだろう。
それに、初心者大歓迎みたいなことも書いてあったのでオーガなども現れないはず。
まぁ、どうにかなるか!! そんなことよりも、せっかく異世界にやってきたんだから街並みを見て心を癒すか!!
俺は本当に適当に歩きながらただただ癒されるという第三者から見るとつまらないような光景を過ごしながら楽しい時間を過ごしている。
そんな時、この街を出たら助けてくれたあの4人組と別れなければいけないということに気がついてしまった。
正直あの4人組がいなかったら死んでいた。助けてくれたのは女神ではなく、女性4人組のあのパーティー。1人からは相当嫌われているが、一応助けてもらった身だから別れの挨拶や感謝の気持ちを改めて言った方がいいと思うがそれだけの為に会うのもな……。
はぁ。たまたまあったら声かける程度でいっかな。どうせこの街に行かなければ会わないと思うし……。
いや……。でも、やっぱり言った方がいいのかな?
みたいなことを起きてる時間ずっと考え、結局夢にまで出てきて、挨拶をしなかったのでぶちギレられ、なんとも言えない雰囲気になったという最悪な夢だった……。
……。はぁ。
……。
……。
?
?!
ちょっと!!
もう日が昇ってるじゃないか!!
やばいやばい、早くしないとクエスト失敗になってまた借金が重なり返せない額になってしまう!! そもそも借金を全額返すのが無理みたいな仕組みをしているところなんだから、返しても金利を払うだけでどんどん溜まって言ってしまう!! ほんとに急がないと!!
俺は急いで着替え、そのまま部屋を大慌てで出て集合場所へと向かう。
ステータス画面でも時間が書かれないので今が何時なのか検討もつかないが間に合うことを望むしかない!!
俺は今までにないぐらいの本気の走りで目的にまで向かうと、そこには馬車のようなものがまだあった!! 良かった……。いや、まだ安心できない!! とりあえず話を聞かないと!!
「護衛クエストはここで合ってますか?!」
「えっとお名前よろしいでしょうか?」
「武蔵です!!」
「武蔵さんですね。はい!! 大丈夫です。他の皆さんはもうお揃いですので馬車の荷台に乗ってください。皆さんの準備が整い次第出発致しますのでその準備もお願いします。では、私は馬の世話をしてますのでお声がけ下さい!!」
「はい」
ってかマジで良かった!!
異世界転移されても自宅警備員?! ころキャベ @katakanamuzu
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