第14話 解放

 はぁ、はぁ、はぁ、はぁ


 「やっと終了だ!!」


 俺は腕を天にあげ喜びに満ち大声をあげてしまった。そう、24時間経ったのでやっとこの森から脱出ができるのだ。

 あの後ゴブリンを何匹倒し収納魔法には7匹のゴブリンが眠っている。

 これで1晩泊まるところとご飯ぐらいにはならないかな?

 なんて少しルンルンな気持ちで魔物と遭遇を避け森の出口にて、スキルを押しながら「解除」と言ってから恐る恐る足を外に出すが、しっかり足が森の外に出れている!!

 やっぱりこの感覚だよ!! 毎度ながらほんと長かった。ふぅ。マジで限界だからさっさとやることだけやってゆっくりするか。


 俺は門番がいるところまで一直線に歩きちょうど誰もいないので俺はギルドカードを提出する。


 「おっ。カード作ったのか。これで安心だな。……。ちょっと待てよ。スタンピードがあったって言うのに外に出てたのか? お前大丈夫か? 怪我ないか? 相変わらず眠そうな顔してるな。」


 すごい心配そうな顔で俺のことを見てくれる門番だが、俺はそれ以上に眠さがかちあまり頭が回らない状態で返事をしてしまう。


 「この通り大丈夫ですが、そろそろ眠さに負けそうで……。」


 「さっさと行きな!! 気をつけるんだぞ!!」


 そう言われながらギルドカードを受け取った俺はその足でギルドに向かう。理想的にはこのままどこか宿屋で泊まりたいところだが、何しろ俺は文無し。いや、ギルドに借金しているからさらに酷い状態だ。

 とりあえず、さっさと用事済ませて寝るか。


 ギルドまで少し距離があるのだが、それにしても森の外はこんなにも太陽が直接ダメージを与えてくるものなのか……。

 眠くて頭がぼーっとしているのには変わりようがないが何故か少しだけ目が覚めたような感覚がする。

 あくびを漏らしながらギルドに到着すると、どこにも目をくれず受付嬢の所まで一目散に歩く。


 「換金してお願いします」


 「換金ですね!! では、こちらのトレーにお願いします。もしも足りなさそうな場合は言ってくだしいね。」


 「ゴブリンを狩って来たのですけど、耳だけじゃなくて全身持ってきちゃったんですけど、価格とかって上がりますか?」


 「? それは上がりますが、どちらに?」


 「ああ。ここです。」


 不思議がっている受付嬢と俺を挟んだ机の上にあるトレーに収納魔法から取り出したゴブリンを7体全て置くが少しこぼれてしまった。

 こぼれた先が俺の方だったので良かった。なんて思いながらゴブリンを持ち上げトレーの横に置いて「終わりました。」と告げようと思い受付嬢を見るが、白目むいちゃってるよ……。


 「あの、すみません!!」


 「……。」


 ダメそう。と感じた俺は隣の受付嬢に声をかけたところ真っ青な顔をしながらギルド職員が入れる裏側に走っていってしまった……。

 断り入れたよな? などと考えているとその受付嬢と男性が一緒に出てきて、男性のみ俺の前へとやってきた。


 「確かにこれはゴブリンの死骸だな。状態も別に悪くねぇな。よし、銀貨1枚で買い取ってやる。」


 「銀貨1枚? ……。お願いします!!」


 「ちょっと待ってな。」


 男性はそういいながらゴブリンが積まれているトレーを足元に置きその後机の上に銀貨1枚が置かれる。


 「ギルドカードも確認しないとだったな。」


 「はい。」


 「? お前借金あるのかよ!! 今回はどうする? どれぐらい返す予定だ。」


 「一応今回は全額もらって宿屋に泊まる予定です。」


 「分かった。全額だな。これが換金の銀貨1枚な。さっさと借金返しちませよ!!」


 「……。はい。」


 「宿なら入口近くのモーラの実って店が安いからおすすめだな。飯も美味いしあそこは気前がいいからな。あっそうだ。これから魔物をそのまま換金する時は俺を呼んでくれ。一応ここのギルマスでな。ギルマスに換金とかいえばすぐに取り繕うようにしとくわ。よろしくな。」


 「ありがとう。」


 「さっさと借金かえせよ!!」


 俺はぺこりを一礼をした後ギルドを出て、おすすめされた宿屋を目指しながら歩くが、あれがギルマスかよ!! 

 元Aランク冒険者で、オーガアニキを一瞬で倒してしまうほどの手馴れ。それがあんなに軽い感じで、結構な細身。それに見た目も結構若そうだった。

 冒険者を引退したなんて聞いていたからごっついおっさんがギルマスやってるのかと思ってたよ!!

 マジでこの世は分からねぇな……。

 とりあえず寝てから色々考えよう。


 俺はおすすめされた宿に付き、すぐに部屋が使えるとの事だったのでとりあえず2泊大銅貨2枚という値段でよくわからなかったが銀貨を渡すと大銅貨8枚帰ってきた。

 後で女神に聞くか。と思いながら2階の隅っこの部屋を案内され入るやいなやそのままベッドに横になり気絶するように寝てしまった。


やっぱり自宅警備員なんてスキル使わずに夜はしっかり寝るのがいちばんだよね……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る