異世界に来たから無限猫召喚で人間の楽園を作る話

fores.芽吹ィ星兎 (めふぃすと)

第1話 半生を振り返って

  俺は大山猫光一おおやねこういち

 俺はネコほど、便利な生き物は他に存在しないという思想がある。

 前世ではハーバード大学を首席で卒業し、流動性動物分類学りゅうどうせいどうぶつという卒論をキッカケに、新たに学会から承認を受けた流動性動物分類学の気鋭な学者としての地位を持っていた。

 つまり、水などの流れる性質と同じ、猫の流動性を主に研究していた。

 前世の認知バイアスは一瞬で終わった。


 俺は猫を召喚できる能力を手に入れた。

 異世界に来て能力を理解し、同時に確信した。

「俺は真に恒久的な世界平和を作れるかもしれない」

 俺はよく流行のアニメや退廃文学に登場する、いわゆる「なーろっぱ」な街並みの中で純真なエゴをひとりゴチた。

 なお人通りのある場所に構わずしゃべり続けた。

「俺は生前、猫の特異性、野生性、食性、体骨格、が主軸に、分類学を研究した。これはつまり流動性の解明に着手する為だ」

「俺は本気で猫が、液体であり固体であると確信しているからだ」

「だから猫は使と踏んでいる」

 ここで改めて目標を決めた。

「このなーろっぱ、で恒久的平和の為に猫を使

「そもそも、なーろっぱは中世ヨーロッパの文化をそのままエンタメの舞台にしただけの、藤子・F・不二雄さんもびっくりの手抜きSFだろう?」

「低コストで高カロリー高糖質のザコザコアニメを量産し、経済的に言えば平均寿命半年のザコアニメーション会社を量産した退廃文学の、とはいえ歴史ある街なんだ」

「歴史だ。歴史で言えばヨーロッパは中世の時代、つまり西暦800年から1700年の間で最も流行った宗教はキリスト教だったはずだ」

「神学は浅学の身分だが、確実にキリスト教は人間優位であり、猫のペット文化は2000年よりまだ無いはず。どころか猫が裕福になる権利など1ミリもない。とくに黒猫は不吉の象徴であり恐怖の的ですらあったはず」

 これを考えながら口から垂れ流しつつ、俺は逆を閃いた。

「やっぱり、人間の平和には都合がいい」

 つまり、俺はこういうことを思いついた。

「猫からあらゆる権利を剥奪し、能力で無限に召喚できる猫を、食育や衣料品や建築材や思いつけば付いた分だけ片端から利用していけばいいじゃないか、この猫を」

 ということだ。

 俺はこのアイデアを実現する為に、まずは国王に謁見しなければいけないと考えつく。

 考えついたことでやっと、見知らぬ土地でも足が軽やかに動くようになった。

「王宮にいるだろう、ヨーロッパはツァーリズムのクソ王権主義者だからな」


《第1話 [完]》

 𝐜𝐨𝐦𝐢𝐧𝐠 𝐬𝐨𝐨𝐧…

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