龍の卵には触れてはいけない
- ★★★ Excellent!!!
リュウノヒゲという植物をご存知だろうか。
細長い葉がこんもりと茂り、葉を掻き分けると根元近くに綺麗な瑠璃色の丸い実が付いている。ナンテンやセンリョウなどの赤い実はよく見かけるが、こんな真っ青な実は他に見たことがない。
叔父の家の庭にはリュウノヒゲが植えられていて、叔父には“龍の卵だから触れてはいけない”と言われていた。
急に亡くなった叔父の家を受け継いで住むことになった主人公のもとに現れた、叔父が雇っていたという家政婦の瑠璃は‥‥
瑠璃色の実をモチーフに描かれた幽玄で淫靡な物語。
きっとこの家に棲みついた龍の化身が、2800年にも渡って先祖代々の男たちを翻弄し、龍の子孫を残し続けているのだろう。
幻想的な美しさが印象的で、ホラーではあるが、これが幸せなエンディングのような安心感を抱いた。是非読んで頂きたい掌編です!