蚊帳ノ外

三浦は大人しい女子高校生だ。
同年代の男子を幼く感じ、落ち着いた生物教師・高橋先生と話す放課後の時間だけを、心の拠り所にしていた。理科準備室で交わされる他愛ない会話。先生の愚痴や相談。それらは三浦にとって、選ばれた場所の証だった。
ある日、三浦は先生の恋心に気づき、衝動的に「告白すればいいのに」と口にしてしまう。数日後、高橋先生は先輩教師・白川先生と付き合い始めたことを、他の生徒には秘密のまま、三浦にだけ打ち明ける。
距離を取られることも、拒絶されることもない。
それでも三浦は、自分が決して選ばれない側だと知っていく。
特別であり続けることが、彼女を蚊帳の外に留めると気づいた時、
青春は静かに、行き場を失っていた。