推しを応援するということは、自分も推しと進むこと

二重構造のテーマが強い。安定感のある作りで最後まで安心して読めました。

主人公ルナは、等々力のゴール裏で必死に応援するが、終盤に逆転されて優勝を逃す。
痛みが強すぎて「応援なんて意味がない」と心を閉じ、スタジアムから離れてしまう。

でも、それって、プレイヤーと応援するものは一体になっているってことなんですよね。
脳科学でも、応援している人はプレーしているのと同様の体験をしているそうなので。

成長したルナはアイドルとして活動中、根拠の薄い疑惑報道で活動停止に追い込まれる。SNSの罵声に傷つき、「信じたのに裏切られる怖さ」を再体験する。

応援の逆は、そういうこよなんでしょうね。


傷心のルナは、久々に等々力へ。声を出さず、バックスタンドから試合を見守る。一方、美咲が今もゴール裏で叫び続ける姿を見る。敗色が濃い中でも折れない美咲に、ルナの心が動き始める。

ルナのことを信じている人も、何十億の人間の中に埋もれて見えにくいだけで、今も彼女に声援をきっと送っているのでしょう。


つづきは本編を読んでみてください。
完結済 全8話 7,480文字です。読んだ時間がむだにならない良作です。

誰かに応援されたことがある人。誰かを応援したことがある人。そして応援なんて意味がないと思っている人。読んでみてください。きっと心が動くと思います。



さいごに私ごとになりますが、カクヨムで書き手をしていると、応援のコメントやハートの一つがものすごく力になることを感じます。その力で物語を進めていると言っても過言じゃないくらいです。好きな作品に出会えたら。そして読んで少しでも心が動いたら、ボタンを押してあげましょう。その応援がその作品と作者を前に進めることができますよ。