エピローグ

囲炉裏の火が、静かな音を立てながら燃えている。


ごんたろはハシビロコウを抱いて眠り、それを抱くように母ドラゴンも眠ってしまった。


「気持ちよさそうやなぁ」


「ここがよほど平和なんだろうね」


「勇者らもけぇへんしな」


そう言って新島が笑った。

そこへタカさんが来た。


「なんだ。こいつは相変わらずだらしねぇなぁ」


母ドラゴンを見て呆れたように言いながら腰を下ろす。


「お知り合い?」


「あぁ、昔手負いのドラゴンがいたっつっただろ。こいつだよ。牡丹鍋全部食って、元気になって帰っていきやがった。あのミステリーサークルっつーのもな。こいつが来るのに使うんだと思うぜ」


眠る親子を見て、タカさんは優しい笑みを浮かべた。


「ま、しかし。この囲炉裏で、こんな団らん見るのはいつぶりだろうな」


囲炉裏を囲んで、ただのんびりと過ごすだけの光景。

“人と関わらない暮らし”を謳歌していたわたしには、全く縁がないものだったのに、今自分がその中にいるとは。


「囲炉裏の神様も喜んでくださるんじゃねぇか。ここに来てくれてありがとうな、コウちゃん」


「いえ、こちらこそっ」


ぺこりと頭を下げる。

わたしのほうこそ、ここで暮らせてよかったと、今では本当にそう思う。

その点、新島にも感謝している。


新島のほうを見ると、視線が合った。

わたしの考えがわかったかのように、新島はニッと笑ってみせる。




囲炉裏の火は静かな音を立て、穏やかなぬくもりを与えてくれていた。

ドラゴンほどには感じられないけれど、わたしにもその加護は与えられているような気がした。

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ドラゴンと囲炉裏端で。 櫻庭ぬる @sakuraba_null_shi

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