第2話 結局迷子

「どうやって君は此処に来たのかな?」

此処は私の住処であり、神社だ。

私は一応稲荷神と呼ばれる類のものである。

しかし、化け狐やら九尾やらと好き勝手呼ばれている。

否、今はどうでもいい。

「んぇっとねぇ、おかーさんたちといっしょにきたの!」

「そうなんだねぇ、お母さん達は?」

童はきょとん、とした顔で此方を見上げる。

「まいご!」

「…そっか」

きっと君が迷子だよ、なんて言うと泣かれそうなのでやめた。

泣かれるのは面倒だ。

「ならお兄さんも一緒に君のお母さんを探してあげるよ」

「ほんと?ありがとぉっ!」

「どういたしまして〜」

つい甘ったるい声を出してしまった。だがしかし可愛いから不可抗力だ。

「あのねあのね、おにいさん!」

「ぇっと、何かな?」

「おかーさんがね、おててぎゅーしなきゃめっていってたの!」

きっとこの子の母は手を握らないと駄目だと言ったのだろう。

しかし稚児には難しいようで、稚児なりの言葉で喋っている。

満点の判を押したいほど愛い。

「ふふ、そっかそっか。じゃあおててぎゅうして探しに行こうね」

「うん!」

本当可愛い。何だこの子は。


*      *     *


道中、この子は色んなことを教えてくれた。

「きょうはね、おみくじひいたの!いちばんすごいのひけたんだよぉ!」

そんな話だったり、

「おれね、ぴーまんきらい。にがいもん」

自分の嫌いな食べ物の話だったり。

年相応の話でとても可愛かった。

寿命で死んでほしいなぁと思って、私は加護をこの子に授けることにした。

そんなこんなしていると、神社と外界を繋いでいる森を抜けた。

そうするとキョロキョロして慌てている夫婦が居た。

「あの2人?」

「あれ!」

あれ呼ばわりされてる…

なんて思いながら私は童を親の方に押した

「ほら、行っておいで」

「…おにいさん、またあえる?」

寂しげな瞳で此方を見上げる。

もう会わないようにしたかったけれどやめた。

「君が望めば会えるさ、きっとね。」

そう言うと童の顔が綻んだ。

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