世界の球体、黒い靄、召喚魔法の失敗という“問題”が

「神々の会議」という壮大で抽象的になりがちな題材を、驚くほど軽快で親しみやすく描き切っている、という点でした。設定のスケールは大きいのに、会話のテンポとキャラクター造形が非常に人間臭く、最後まで楽しく読めます。
まず秀逸なのは、神の姿と性格を“信仰され方”で決めている発想です。液体や靄、人型などのビジュアルが自然に受け入れられ、「なるほど、信じられている姿=神の姿」という説明が一文で腑に落ちる。世界観の導入としてとてもスマートです。
次に、会議シーンの構成が巧みです。
世界の球体、黒い靄、召喚魔法の失敗という“問題”が視覚的に提示され、そこへ神々の感情が次々と乗っかっていく。
特に
エナの頼りなさ
ペンタとデカの苛立ち
ヘプタの「途中までは穏やかな常識人」感
が、短い台詞だけで明確に伝わります。


そして最大の見どころはやはり、日本の八百万の神々の乱入でしょう。
ここで一気にトーンが変わり、
「ぬるっと」「つるつるっと」
ギャグのようでいて圧のある群像
他世界の神々が完全に飲まれる空気

が、日本神話の“多神・雑多・理不尽だけど強い”イメージと見事に噛み合っています。
アマテラスの登場も、「笑顔ではない」「静かだが絶対的」という描写で、格の違いをしっかり感じさせるのが非常に良いです。
ヘプタの
なんだって日本に落としてんだよっ

という悲鳴は、地球神=管理者視点で日本を「一番触っちゃいけない場所」と理解していることが一瞬で伝わる名台詞だと思います。
そして最終的な土下座オチは、ギャグとしても、日本の神々への最大限の敬意としても綺麗に締まっています。

世界観の提示力
キャラクターの立ち上がり
シリアスとコメディの切り替え

のバランスが非常に良く、「この先、絶対に何か大事になるぞ」という期待感を強く残し続きが読みたいです。