うちの猫、めっちゃ強いんですけど~愛猫たちと異世界満喫生活~
実川えむ
プロローグ
第1話 神々の話し合い
真っ白な壁に囲まれた真四角の部屋で、12人の神々が円卓の周りに座り、お互いの世界の均衡について話し合っていた。
神々の姿は様々。人間と同じような姿の者もいれば、獣や爬虫類のような頭をしている者、生き物とはかけ離れた、人型の黒い靄だけ、水のような液体だけの者もいる。
それが彼らが管理する生き物たちが信じる『神』の姿だからだ。
共通しているのは、全員が膝よりも長い丈の白い貫頭衣を着ていることだ。
その中には我らが地球を管理する神も含まれている。地球に住む多くの人間が神として想像しているのか、身体のがっしりとした初老の男性の姿をしている。そんな彼は、12人の神々の中でも穏やかな表情で席についている。
いつもなら、お互い穏やかにお茶を飲みながら話をするのが常なのだが、今回の集まりではそうもいかない状況になっていた。
神々の前には、彼らが管理する世界が球体として浮かんでいる。
青や緑、赤やオレンジと、様々な色をした球体がある中、一つの球体だけ、周囲のものとは異なる様相を呈しているものがあった。
白っぽいグレーの球体の周りに、黒い靄のようなもので包まれており、その靄が両隣の世界へと、まるで手を伸ばすように、伸びているのだ。
本来なら、彼らの世界はお互いに近いところに存在はするものの、重なることはない。
それなのに、問題の球体は両隣の世界へと干渉しようとしているのだ。
「エナ、そいつはなんとなならんのか」
声をかけてきたのは、エナと呼ばれた神の向かい側に座っているペンタと呼ばれる神だった。
白馬の頭を持っているペンタは、かなり不機嫌そうに、ブルルルルッと苛立たしげに鼻息を吐く。
「あ、ああ。僕もなんとか押さえ込もうとしてるんだけどさ」
オドオドと返事を返すエナ。黒い肌に赤い髪、金色の角の生えた少年のような彼は、自分の世界の管理がうまく出来ていない。それは、かつて一度、世界を壊してしまったことがあるせいで、自信がもてないから。
「でも、ちょっと困るんだよねぇ」
「ほんとに」
エナの両隣に座る二人の神は渋い顔をしている。
「これさぁ、エナのところの人間が召喚魔法を失敗しまくってるせいでしょ」
「まったく。俺もデカもなんとか防いではいるけどさぁ、ひっきりなしにやられると、俺っちも自分の仕事ができなくなるっていうかぁ」
「ディオの言う通り。あ、ほら、またなんかやってるぅ」
ずるりずるりと黒い靄が、デカと呼ばれた神の世界へと伸びていく。
「えい」
デカが黒い靄をチョップ一発で伸びてきた靄を潰すと、靄は元の世界の球体へ凄い勢いで戻る。その波紋が球体全体に広がっていくのが見えた。
「ああああっ!」
「まったく、これくらいやらなきゃダメだってぇ」
黒い肌だから分かりづらいけれど、顔色が真っ青になったエナが叫び声をあげる。
「おい、デカ、やりすぎだろう!」
向かい側にいたペンタが立ち上がり、円卓をドンッと叩いた。
その時、ペンタのお茶の水滴が飛び上がったのだが。
「あっ」
ペンタの威圧にその水滴が凄い勢いで……地球の世界の球体へと飛び込んだ。
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