切なさや人間の醜さや教訓、この一つの作品にいろいろつまっていて素晴らしい作品でした。
主人公は鳥御門家というところの女の子。
その一族の人はみんな鳥のような羽が生えているらしい。
鳥御門家の女は16になると、卵を産むようで、主人公も痛い思いをして卵を産みました。
それは無精卵だったのだけど、つがいもえらばないとという話が鳥御門家で出てきます。
主人公はそれを聞いて、清之助という男のことを思い浮かべました。主人公は彼のことが好きでした。
しかし、清之助には好きな人がいるようで、しかもその人は今病に臥せっているという。
それを知った主人公はある考えが浮かびます。
彼女はいったい何をしようとしているのか?
この物語はどこへ向かっていくのか?
ここからはあなたの目で確かめていただきたいです。
非常に読みやすい文章で書かれているのですが、しかし昔話っぽい雰囲気も損なっていなくて、ストーリーも重厚だし、完成度のとても高い作品でした。オススメです!
この、哀しい恋の物語を語るに、
まずは鳥御門の事を軽く解説した方が良さそうですな。
彼ら……いや、彼女ら、と呼ぶべきでしょうか。
それは人間の姿を持ちながら羽を持ち、
出産ではなく産卵をいたします。
赤子ほどの卵を産むのです。
そして、その卵は万病に効くと言われており、大変貴重とされております。
そして、卵から雄が生まれることは決してなく、ではどうするかというと、
人間の男性から「つがい」を選び、卵を食わせて鳥御門にすると言うことなのです。
恋愛結婚は許されませんが、主人公の鳥御門、とある男性に恋をしてしまいました。
しかし、男性にはすでに婚約者がおり、病に伏せっておりました。
鳥御門は男性に向けて言います。
「あなたに万病に効く鳥御門の卵を与える代わりに、私の婿になってほしい」
それは、いわば恋人の命を人質に取った……などといえば悪い言葉になりますが、
人間の命を秤にかけさせる決断でした。
男は、鳥御門との婚約を決めるのでした……
……・
………が、
この恋は悲恋に終わります。最後は、みようによっては美しい景色ですが、
残酷な景色にもございます。
誰かの幸福は、誰かの不幸である、
揺れる天秤のような理を、美しい描写で描いた本作。
ご一読を。