第32話 畑の平穏と森の影・リードの日常再開編
朝の光が畑を照らす。リードは久々に静かな時間を満喫しながら、土を掘り起こし、作物の世話を始める。鳥のさえずり、風に揺れる麦の葉、そして土の香り――久しぶりの穏やかな空間に心が安らぐ。
「……やっぱり畑はいいな」
ミリィは肩越しに小さく羽を広げ、日差しを浴びる。
「リードさん、これならスローライフも夢じゃないですね」
「……少しだけな」
畑仕事に集中していると、森の方向から微かな魔力のざわめきが届く。
「……あれ? 森の方か」
リードは杖を軽く握り直し、目を細める。どうやら森の奥で小規模な魔力渦が発生しているらしい。
「……まあ、小さな騒ぎなら対応できるか」
ミリィは肩越しに小さくため息をつく。
「リードさん、やっぱり完全に平穏は難しいですね」
「……そうだな、でも少しでも守るのは俺の役目だ」
森に向かうと、小型魔物が数匹飛び出し、畑の周囲で小さな騒動を起こしている。リードは杖を軽く振り、魔力を流すだけで魔物たちはおとなしくなり、魔力渦も収束し始める。
「……ふう、これで畑は安心か」
ミリィは肩越しに笑う。
「でも、リードさん、こうして平穏を守る日々も少し楽しいですね」
「……少しだけな」
小さな魔力余波を整えながら、リードは畑の作業を再開する。野菜の水やりや土の手入れ、作物の成長を見守る時間は、彼にとって至福のひとときだ。
夕暮れが畑を黄金色に染める頃、リードはふと空を見上げる。
「……束の間の平穏でも、こうして日常が戻るのは嬉しいな」
ミリィも小さく笑い、二人は静かな時間を楽しむ。森の影に潜む魔力余波はまだ完全には消えていないが、今日の畑は確かに平穏だった。
「……平穏は短くても、守れるだけ守ろう」
リードは杖を握り直し、明日への静かな決意を胸に、畑でのスローライフを続けるのだった。
平穏を願う魔力使い リードの異世界スローライフ 塩塚 和人 @shiotsuka_kazuto123
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