一週間メランコリー ★10

★10 葬式とあとしまつ

 全校集会にて校長先生が「……松田庄平君が亡くなりました」と告げた。体育館は嗚咽で異常な雰囲気になった。


 そして葬式。焼香。こんなことしなくてもいいのに……と、その時、衝動的に投げつけたくなった。織田信長の逸話を思い出していた。


 織田信長は父である信秀の葬式で、焼香のとき、仏前へ進み出て抹香をぱっと摑むと、位牌に向かって抹香を投げつけて颯爽と帰った。様々な理由があるようだが。その行動に憤った信長の教育係であった平手政秀は諫死した。つまり切腹した。これは後になって信長が「父上のために死んだ」と言ったという伝承があるので、信秀の死を悼んだり、また、その意志を継いだとも考えられる。


 平手政秀はきっと行き場のない怒りと悲しみを抱いて死んでいったのだろう。そして、織田信長もそういった気持ちだったのかもしれない。感情の行き場がなかったのではないか。だから抹香を投げつけた。それしかできなかったのではないか。

 もしかしたら、私は恐れ多くもこの織田信長と平手政秀と似たような感情を抱いていたのかもしれない。

 行き場のない怒りと悲しみ。そして切腹。


 この事件を墓場に持って行こうと考えた時、私は死んだのだ。1998年7月9日以降の私は、今現在2026年の私で、当時の私は死んだ。墓場に入り切腹した。


 20年以上後になって発覚する「解離性同一性障害」と関わりがあるのは間違いない。


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一週間メランコリー [ある現象] 玄 律暁(げんりつあき) @flunit

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