第一部 3話
動くものは何もない。まだ足の裏が地面に貼り付いているようだと零は思った。「相手の実力を知るもまた強さなり、か。僕には君らがただの臆病者に見える」その一言で、球の拳に火がついた。「火球燃焼拳(カキュウネンショウケン)!」球の右拳が5倍ほどの炎の塊になって、真田真の顔面を捉えた。真の身体は5メートルほど宙を舞った。そして、普通に地面に崩れ落ちた。「あっつ……!」真は左手で頬を押さえて呻(うめ)いた。その様子に一番驚いたのは球だった。「はっ?嘘だろお、なんで消えねーんだ?」球はまた空振りの駄目元で技を出したようだ。「んー?消えるわけないでしょ。僕、幽霊じゃないし、怪我治すの早いしね」真が左手を離すと、殴られた痕(あと)は綺麗になくなっていた。それを見ていた輪は零を一瞥(いちべつ)し、ある構えに入った。右足を引き、身体を右斜めに向け、木刀を右脇に取り、剣先を後ろに下げて構える。「脇構え(金の構え)——縮地(しゅくち)!」輪の木刀は一瞬で鉄になり、輪の身体を瞬く間に真の下へ運んだ。「ぐっ……!」鉄の強度となった木刀は、真の脇腹を抉(えぐ)り込み、肋骨(ろっこつ)を破壊し、内臓まで達した。真は吐血しながら地面に叩きつけられた。「ふっ、あんたより飛んだわ」輪は飛距離を確認して、球にしたり顔(ドヤ顔)をした。「お前、相手が消えねーと分かって——悪女かよ!」「何それ、負け惜しみ?」2人に緊張感はなくなっていた。「ねえ、零。そいつ尋問する?」零は輪が攻撃に移る直後、親指を結んで真の身体を拘束していた。器用な零は手足拘束の後、頑丈な木箱を出現させ、その中に真の身体を閉じ込めた……はずだった。「消えてる……」零の傍に2人が駆けつけると、長方形の木箱だけを残し中身は空だった。「重傷のはずよ!」これには輪が一番驚いていた。手応えは確かにあったのだ。骨も何本か折ったはず、肺に損傷があれば呼吸もままならない。「金・火・水」背後で手を3回叩く音。零、輪、球の順で3人は吹っ飛ばされた。「超速再生、瞬間移動、そして、君らを上回る五行説を僕は使える」にっこりと微笑む真田真がグラウンド中央に鎮座(ちんざ)していた。
続き執筆中……
キタリマレーシ @shibakazu63
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