私は、若苗獏々。

ありお ゆめ

第1話 クリスマス・イブをあなたと

ーーHi! I’m Momo WAKANAE.ーー


こんな風に挨拶するのもあと少しね。


私は若苗獏々わかなえもも、15歳。


小3からNYに来て両親と暮らしている。


でも楽しかったNYの生活は、もうすぐおしまい。


高校入学のタイミングで帰国するから、今日は帰国前の最後のクリスマスイブ。


今夜は、ママとパパが経営しているデリのスタッフの人たちと賑やかに食事をした。

移民の人たちもいたりするけど、皆いい人で楽しい。

定番はターキーだけど、今夜は私の好きなローストビーフだった。

とっても美味しかった。


☃☃☃☃☃☃

NYって意外に雪が降るし、思ってたよりずっと寒い。


今日は、一昨日からの雪で一面銀世界。

近所のダコタハウスの前では、寒いのに観光客が写真を撮ってた。


家は、そのそばのアパートメント。


私の部屋から見る雪景色は、とてもロマンチックに見える。

眼下にはセントラルパークがあり、歩道以外は真っ白で散歩している犬がたまに雪に戯れてる。

それに奥の凍った湖では、ときたま鳥が羽を休めてる。

遠い春を待ってるのね。

地下鉄の排気口から濛々と湯気が出るのさえ絵になる素敵な街。


☃☃☃☃☃☃

こうして綺麗な景色を見てるとまた思い出しちゃう。

あの学校の屋上の柵の外を悲しそうに眺めていた彼のことを。


私が忘れられない人は、遠く離れた場所に住んでる。

名前も知らないまま……ずっと会えない。


”神様、私にクリスマスプレゼントを下さい”

ーー今、私が望むのはってことーー


欲しいものを書いて靴下に入れたらママが見ちゃうから心の中で念じた。

部屋の暖房が付いているうちに眠らなきゃ。

窓に当たる雪の音が心地よい。


❄❄❄

“サシャサシャサシャ” 

空から舞い落ちる綿毛のような雪が無限の輪唱のように聞こえる。



ベットに入って強く強く念じた。

サンタさんがいるなら私の願いを叶えてください。


ーーgood nightーー

やがて落ちていく深い眠りの夢の中、そしてまたその奥へ。


ここはきっと彼の夢の中のはず。

だって目の前にあの時の男の子が見えるから。


目があってるのに、会話が出来ないのがもどかしい。

彼は、子供のままだけど、私はもうあの頃みたいに幼くはない。


彼は私を見て微笑んでる。

私も微笑み返した。

手を差し伸べても触れることはできない。


どうして会えたのかは分からないけど、何故かできる不思議な能力。


祖母から聞いた不思議な能力が、私にも開花しますように。


人生は、まっすぐじゃないけど、いつか思いが現実になるってことを信じてる。

寄り道してもいい、叶った時の喜びが大きくなるはずだから。


でも早くその時が来て。

夢の中でも会えて嬉しい。


帰国したらいつか本当に会える日が来るはず、私諦めないわ。


❄❄❄

“サシャサシャサシャ” 

空から舞い落ちる綿毛のような雪が無限の輪唱のように聞こえる。

この音をどこかで聞いた気がする。


うっすらと目が覚めた。

素敵なクリスマスプレゼントをありがとう。

Merry Christmas.



今夜あなたも遠くの大切な人と夢の中で会えますように☃️


☃よろしければこちらもお立ち寄りください☃


❄本編はこちら❄

新橋夢士〜夢悪神なんて嫌だ。俺はこんな能力欲しくない

第1話 プロローグ

https://kakuyomu.jp/my/works/822139839113481725/episodes/822139839114933741



❄別視点で書いたEmotional Storiesはこちら❄

別冊!新橋夢士~夢なんて操りたくない。俺はこんな能力欲しくない

新橋夢士の物語へのプロローグ

https://kakuyomu.jp/my/works/822139839995107379/episodes/822139840351394214

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私は、若苗獏々。 ありお ゆめ @yuki_onna

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