第2話  フリッパー小隊(2)

「『羽根無し』の奴らが卑怯な手ぇ使いやがったからでしょう! あいつら、白兵戦じゃ勝ち目がぇときて、狙撃なんざしてきやがった!」



 また怒ってる。あの人、苦手。


 顔はすごく綺麗なのに、目つきがすごく悪いんだ。

 おとぎ話の「悪役貴族」って感じ。


 あ……でも、言葉遣いも悪いから「盗賊」かな。

 「顔のいい、二代目盗賊親分」。



 長いから、やっぱ「悪役貴族」。




「そう言うな、ネイト。今回は敵の戦術を見誤った私のミスだ。むしろ、これくらいで済んで感謝しないとな」


「隊長ぉ、『これくらい』はないでしょぉ」


「あー、いやはや……すまない、ピート。いつも感謝してるよ」


「冗談ですよ。……しかし、『連合』の連中もやるもんですな」


「ああ。練度の低さは相変わらずだが、最近はどんどん新型が出てきてるしな」


「ピート! あんなのは卑怯者ひきょうもんのやること…」

「うるせぇ! お前はさっさと水飲んで整備手伝いやがれ! 手が足らねぇって、いつも言ってんだろうがッ!」



 怒られてやんの。ぷーっ。


 いい気味だけど、この後、水渡すの俺なんだけどなぁ……。

 とばっちりがないか、心配。



「……はい、ネイト。水」


「おう。そこ、置いとけ」



 感じ悪い。

 

 でも、噛みつかれないだけマシかな。



「チッ。ピートのやつ。何が『連合の連中もやるもんですな』だ。オレはあんな戦い方、認めねぇ。あんなもんは……」



 まだ言ってる。



「いつまで言ってるの。またピートにどやされるわよ?」



 ぶつぶつ……というか、けっこう大きな声で文句を言い続けるネイトに、自分の機体である二番機の整備にかかっていたロンダさんが声をかけた。



 「悪役貴族」なネイトと違って、ロンダさんは「王妃様」みたい。


 いつも無表情でちょっと怖いけど、たまに微笑った顔がすごく綺麗。

 パイロットとしての腕も一流なんだって。かっこいい。



「うるせぇなぁ、わかってるよ。……けどよ、お前だって思うだろ? あんなもんは…」

「戦争に卑怯も何もないでしょ。生き残ったほうが正義よ」


「お前なぁ……。お前には〈バトリーク〉乗りとしてのロマンってもんが…」

「無いわ。そんなもの」



 面白い。けど、ネイトが怒りだしたら面倒だから離れよう。


 あ、ロンダさんにも水。



「大体、狙撃手を墜としたの、私でしょ」


「ぐッ……。 あ、あれは、お前のほうが近かったから、たまには手柄をやろうかと…」

「場所、わからなかったくせに」



 面白い。あ、でも、もうダメだ。ネイトが爆発する。


 ピートさんの手伝いに戻ろう。









 





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