第六話
ギルドの中に入ると、俺と彼女が新規登録できるような雰囲気ではなかった。
正直、かなり場違いな気がする。
それでも登録は必要だ。俺はカウンターへ向かった。
カウンターにはきれいな女性が立っていた。近づくと彼女は俺たちを見て言う。
「ギルドに登録ですか?」
俺は短く「はい」と答えた。答えたときに、ギルド内にいる人たちの視線がこっちに向いた。俺は、登録を早く終わらせてこの場所から逃げたかった。
すると、彼女はすぐに書類を出してきた。
「名前はなんですか?」
「えっと、俺はセデールです。隣は......」
ここで俺は名前を聞いていないことに気がついた。
「私はイエリス」
イエリスはそれだけ言った。
俺は衝撃を受けた。俺を怪しいと疑ってきて俺はほぼ全て話したのに、彼女は名前すら言わなかった。なのにこんなにもあっさり言うなんて。
「登録完了です。最初は全員Fランクから始まります。自分の一つ上のランクまでの依頼しか受けられないのでご注意ください。あそこにある掲示板から依頼を受けることができます。危険も多いので、気をつけてください。それではこれから頑張ってください。」
俺は早速、掲示板に向かった。
最初だし簡単なやつがいいよな。薬草採取、荷物運び、三体のゴブリン討伐があった。報酬は対してないが危険がない方がいいもんな。ちらっと高ランクの依頼を見たら、家が買えるほどの報酬だった。それだけ難しいということなんだろう。
楽そうで危険もなさそうだし荷物運びにするか。と思って手に取ろうとしたら、イエリスはすでに依頼を持っていた。
イエリスが持っていた依頼はFランクのではなくEランクのものだった。しかもその中でも特に難しいものを。でも報酬が剣と防具を買ってもお釣りが来るぐらいの料で、一瞬心が揺らいだが俺はその依頼をやめさせようとした。
「危ないから、やめろよ、絶対。 急いでるわけでもないんだしさ。」と全力で否定した。イエリスの心が揺らぐことはなくきっぱりと断られてしまった。
結局、このEランクの依頼を受けることになってしまった。
俺は本当にこれで大丈夫なのかとても不安で仕方がなかった。
まさか、あんな場所に行くことになるとは思わなかった……
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