ノイズの向こうに響く歌

すべてを予測できる天才少女・マシロは、この世界を「予定調和の計算式」と見なしていた。
病も老いも制御可能な時代、彼女は自らの寿命を十八歳に設定する。
理由は単純だった。
――もう、世界に飽きてしまったから。

唯一の幼なじみであり研究者のレンは、マシロの決断を覆すため、宇宙に「計算できない何か」が存在する証拠を探し続ける。
完璧なデジタル観測では何も見つからないまま、残された時間は減っていく。

やがてレンは、マシロが切り捨ててきた“不完全なノイズ”に希望を見出す。
嵐の夜、鉄塔の下で稼働したアナログ受信機が拾い上げたのは、
調子外れで、リズムもめちゃくちゃな――宇宙からの歌だった。