サンタクロース養成学校に新たな仲間が加わりました🎅
秋乃光
トナカイの飼育🦌
サンタクロースのソリをひっぱるトナカイさん。
サンタクロース養成学校のトナカイさんは、合計で五頭います。
ぴかぴか光るまっ赤なおはなのトナカイさんは、うちにはいません。
トナカイさんは、とってもこわいです。
決まった時間にごはんを持っていかないと、あばれてきゅう舎をこわしてしまいます。
ことしはもう三回、さくがこわされました。
二回、屋根がとんでいきました。
こわされるたびに、サンタさんは大きなためいきをついて、こわされたところをなおしています。
きょねんよりも、ことしのほうがおおいそうです。
トナカイさんたちは、しょっちゅう、きゅう舎をにげだしてしまいます。
にげだしたトナカイさんは、みんなでさがして、きゅう舎につれてかえります。
いちど、トナカイさんがまちのほうまでにげてしまったときがありました。
まちのひとたちはトナカイさんのことを、クマとおなじぐらいおそれているので、このトナカイさんはしゃさつされてしまいました。
トナカイさんはとってもこわいです。
立派なサンタクロースになるには、このトナカイさんたちを自由にあやつって、空を飛べるようにならなくてはなりません。
*
今日は、ぼくとペンギンくんがごはんとブラッシングの当番です。
ペンギンくんはぼくにおもたい水くみをまかせて、きゅう舎でトナカイさんのブラッシングをするそうです。
「やくわりぶんたんしたほうが、早いだろ!」
「ブラッシングは二人一組じゃないとあぶないって、サンタさんが」
ひとりがトナカイさんのあごひもを持って、もうひとりがブラシでなでてあげる。
正しいやり方はサンタさんからおそわっています。
「サンタさんは、ブラッシングのやり方を教えてくれたとき、柱にあごひもをくくりつけていたじゃないか。ぼくたちだって、そうすればいい」
「うーん」
「ほら、さっさと行けよ!」
「わかった……」
トナカイさんは、サンタさんの言うことを聞いてくれます。
ぼくたちの言うことは聞いてくれませんが、あごひもを持っていると、言うことを聞いてくれます。
ぼくの気が進まないのは、水くみがたいへんだからです。
けれども、ごはんとブラッシングの当番の人がやらなくてはいけません。
そうでないと、トナカイさんはまたあばれてしまいます。
ぼくがこのサンタクロース養成学校に来る前に、一度、当番の子がどちらもねぼうしてしまったことがあるそうです。
トナカイさんたちはおおあばれ。
このきゅう舎がまだあたらしいのは、このときにたてなおしたから、だそうです。
「こらっ! やめろよ!」
ぼくがバケツに水をくんでもどってくると、トナカイさんがペンギンくんのおようふくにかみついていました。
「ジラフ! たすけて!」
べつのトナカイさんがきづいて、ペンギンくんのおようふくのそでにかみつくと、二頭のトナカイさんたちはペンギンくんをずるずるとさくのなかにひきずりこんでいきました。
こうなるとぼくにはたすけられません。
たすけにいったら、ぼくまでさくのなかにひきずりこまれてしまいます。
「サンタさんをよんでくるね!」
ぼくは運んでいたバケツをおいて、サンタさんをよびにいきました。
きゅう舎からサンタさんのおうちまでは、ぼくたちががんばって走ってもさんじゅっぷんぐらいかかります。
ペンギンくんの声は、だんだんとおくなって、小さくなって、やがてきこえなくなりました。
次の更新予定
2025年12月26日 12:00
サンタクロース養成学校に新たな仲間が加わりました🎅 秋乃光 @EM_Akino
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