黒猫と呼ばれる学校の美少女と湿度高めの関係を持ってしまった話

通学バスの後ろから三列目。
そこに座るのは、やけに綺麗で、やけに近寄りがたい少女――黒宮椿。

風景ばかりを撮る高校生・牧野謙一は、
ある朝、彼女から突然こう言われる。

「ねえ、私を撮ってみない？」

美しいものは、誰が撮っても美しい。
だからこそ、彼は彼女を撮りたくなかった。

噛み合わない価値観。
試すような言葉。
踏み込めない距離。

それでも交わってしまった、ほんの一瞬の時間。

――これは、不思議な二人の関係の始まりのお話。