第3話 田んぼの帰り道

颯斗: ちょっとまって。

   俺まじで帰って来て良かったぁー


夏: 心配してくれてるん、ありがと。

  向こうのお母さんもええ人そうやし、

  うまいことやっていけるかもしれんし

  それに、けっこう男前やねんで、

  意外とすぐに好きになるかも(笑)


颯斗: いや、

   そんなすぐ絶対好きにならへんて。

   俺、告られて付き合っても今まで

   一回も好きになったことないもん。


夏: 一回も?


颯斗: おぅ、一回も。



夏: はやとって誰か好きになったことないの?


颯斗: あるよ。

   …多分気付いてへんと思うけど。


夏: え、だれ?


颯斗: だれって…

   俺な、

   …お前が好きやねん。

   あー、言うてもうたわ。


夏: え!うそやろ、もうー!

  しらん!しらん!

  こんな歳の女からかわんといてー(笑笑)


颯斗: しらんやろ?

   俺もお前のこと好きやって気付くまで

   時間かかったわ。

   就職してお前と会わへんようになってから、なんか全然オモロなくなってん。

   だれと付き合っても全然楽しないねん。

   でも、こないだ梅田でお前にバッタリ

   会った時、自分でも信じられへんくらい

   ドキドキして…(笑)

   あの日彼女おったけど、

   忘れて帰ってもーたわ(笑)

   あんときわかってん。

   なっちゃんのこと好きやって…


夏: …


颯斗: えっと…オレと結婚しよ?

   オレやったらアカン?

   …なんか、もっとちゃんとお前のこと

   誘ってメシ行ったり話したりして、

   ほんでちゃんと言うつもりやったのに

   なんかちょっと思ってたのとちが…


夏: 私はずっと颯斗のこと好きやったよ。


颯斗: え、、


夏: あんたこそしらんやろ。

  私はずっと、

  ずっと颯斗のこと

  好きやってんから。

  …あれ?私、泣いてる?

  なんか涙が出てきてんけど…


颯斗: …ごめん

   …(ニコニコ)


夏: なんで笑うの?

  私涙止まらへんのに。


颯斗: お前も笑ろてるやんけ。

   てか泣いてるけど。

   俺のTシャツで拭いとけ。

   泣きながら笑うとか、

   なんかややこしいやっちゃな(笑)

   …なっちゃん、

   俺と結婚してくれるん?


夏: うん。


颯斗: っっしゃ!(小さくガッツポーズ)

   ちょっとオレ、一回帰ってスーツ着てくるから、お前先帰ってて!


夏: なんで?

  先に帰るの?

  え、もしかしてウチ来るん?


颯斗: お前のお父ちゃんとお母ちゃんに挨拶せなあかんから。

   お父ちゃんが向こうに電話して「よろしくお願いします」て言うてるかもしれんやろ!

   ちょっとオレ早よお前んとこ行かな落ち着かへんわ!

   ちっとも知らん男にお前のことくれてたまるか。

   

夏: え、挨拶って?

  もしかしてあの?挨拶?

  え? 今すぐ?


颯斗: アホかお前〜

   お見合いのやつ断らなあかんやろ。


夏: あ、そーか。

  てか明日、あの人と会うんどーしょ!


颯斗: 明日は行くなよ。

   ほな、あとでな!


夏: うん。

  おかあちゃん、びっくりするやろな。


颯斗: あ、ちょっとまって。

  (キスしようとして)

   あ、やっぱあとにしよ。

   豆腐忘れんなよ。




終わり

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夏はバニラアイスクリーム(脚本:関西弁) 無花果 @ichijiku8

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