第2話 囲み
教室(シーン 静まり返る
いつもなら、 ドッ となるのに、教室は先生が出ていっても静かなまま。
帰ろーぜ! の声を上げる男子もダンマリ。
この鉄の…メタリーの席の向こう側に座る男子…メガネに至っては…
メタリーを ガン見ね。 ちょっと、超失礼よ。メガネじゃ全然ときめかないし。あたしならグーパンね。
みんな、席に座ったまま首だけメタリーの方を向いている。
メタリーはピクりとも動かない。
誰かが言った「これ、動かないんじゃ?」
途端、
教室(ドッ ガタガタガタ
皆が一斉に席を立つ。
特に男子が我先にとメタリーの席を囲む。
男子ども(ジッ (ゴクリ
メタリーの女子の制服に、男子の手が伸び…ダメ…
女子「男子やめなさい!!」
男子ども(ビクッ
ぁ、リンだ。 すごい、大声、あたし、声出せなかった…
男子「うるせーなー!いいじゃねーか!人形なんだからよ!」
女子「……それ、絶対、ものすごく高いわよ!壊したりしたら!」
…ものすごく高い…億…とか!?
男子「…」(ソッ 手を引っ込める
キュイン (男子(ビクッ 女子(ビクッ
メタリー「お気遣い感謝します。ご心配には及びません。わたしは非常に高額ですが、カズヒサさんには、わたしを損壊させる意図は無いものと判断します。」
カズヒサ「ぉ、おう。……ごめんな。」
男子どもに向かって大声出したの、友達のリンだ。
気が強くて、あたしの大切な友達。
男子(ジッ
女子(ジッ
沈黙)
みんなの視線が座ってじっとしているメタリーに注がれる。
ゴクリ)
ーーーー 静まり返るは 学び舎の
唾飲む音すら 響きけり
鋼のカラクリ この乙女
ああ
白銀(しろがね)唇 紡ぎしは
人の心か
はたまた機械の音声か ーーーー
クラスのみんなが目を皿のようにして見守る中、
キュイン)メタリーの腕が動く
細い指は精密に
ブレザーのボタンにかかる
スルリ) 銀ピカの 胸元 細い肩が露わに…
「ええええ!!!!!!」女子の叫び
ササッ!(見かねた女子が、素早くメタリーのブレザーを直す
メタリーの手が止まる メタリー「…」キュイン
メタリーの首が動き、カズヒサを見る (キュイン(ジッ
カズヒサ「ぉ… (何かを言いかける
メタリー「カズヒサさん、女子用の制服に興味があるのでしょ?なら、わたしの制服で我慢してください。
女子に頼んだら、嫌われてしまいますよ。」
ドッ 大笑いが響く
カズヒサのあだ名は今から…フェチヒサになった。
たまらずメタリーに抱きつく女子
「ひゃっ!メタリーちゃん冷めった!ぁ、このへんは暖かいんだ! こらー、男子はだーーーめ!」
メタリー「負荷によっては火傷の危険が…」
あははははは!
教室に笑い声が響く。
期待に満ちた、楽しい学校生活が待っている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
たった5分足らず…
担任が教室を出てからたったの…
教室にはもう、銀ピカのメタリーをただの機械人形だと思う生徒は一人もいなくなっていた。
今のメタリーは、いや、メタリーになったのだってついさっきのことだった。
担任のこじつけ、出任せ、それとも名付け?
「メタリーです。よろしくお願いします。」(ペコリ
それが、この存在がメタリーになった瞬間だった。
Meta(超越) メタ
Reading(読解) リ
Revolution(進化) ー
たった5分足らずで、クラスの人気者、ちょっと変わった銀ピカの ーーー クラスの女の子…
ーーー それは、まさに魔法 ーーー
いや、いた、クラスに1人だけ
メガネと呼ばれる男子だけが、ほかの生徒とは違った目で、メタリーを見つめていた。
つづく
皆さんと1年間、一緒に勉強してもらうロボットの転校生を紹介します。 床の間ん @tokonoman
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