ホンダ CX650ターボというチョイスの渋さ

「黄昏」の意味の変化が美しい
冒頭では、浪人生としての不安定な立場や、どちらにも属せない自分を象徴する「憂鬱な時間」として描かれていた黄昏時が、結末では「再会」と「未来」への境界線に変わっていくグラデーションが非常に鮮やかでした。 「黄昏の先まで!」というセリフに、もう迷いがない主人公の決意が凝縮されていて、読後感がとても心地よかったです。


バイクの車種選びにこだわりを感じました。あえて「CX650ターボ」という、マニアックでメンテナンスの難しい名車を、しかもサイドカー付きで登場させたことで、亡き父との絆や、大切に時を紡いできた重みがリアルに伝わってきます。サイドカーが空席から「彼女の特等席」に変わるラストが尊いものとして感じられました。