灰銀の剣士　〜その記憶の彼方に〜

古き神々が去り、過去栄華を欲しいままにした、古代文明が崩壊してから数百年。
剣と魔法が共存する世界アレクセリアは、表面の平穏の下で、種族の壁と忘れられた遺産の影を宿していた。
人間の情熱とエルフの冷徹さが交錯するハーフエルフは、どちらの故郷も持たず、孤独を友として生きる。
失われた魔導の技術は、遺跡の奥深くに眠り、宝を求める者を誘い、同時に破滅を約束する。
この世界で、一人の黒ローブの剣士が旅をしていた。
名をヴァンベルグ。
腰に青光りするバスタードソードを下げ、肩に賢いカラスを乗せ、フードの下に顔を隠して。
彼の旅の目的は、ただ一つ——
自分自身の過去、失われた記憶を取り戻すこと。
雨の降る辺境の町から、物語は始まる。