暦の中の光を追って

VmarutaX

第1話 まだ決まらぬ一台と

自分の趣味として、バイクに乗る事がある。現在乗っているのは大型自動二輪の分類となる、YAMAHAのV-maxと言うバイクである。

他にも、2台ほど持ってはいる。

持ってはいるのだが、DT125は今は動かない。が、キャブの清掃とイグニッションコイルを替えれば、きっと目を覚ますだろう。

裏にはモンキーも放置したままだ。弄り回して、遊びながら乗る手もある。


ただ、虫撮りや通勤の足に限って言えば、やはりメットインのスクーターがいちばんしっくりくる。

ひょいと乗り出し、気のむくままにハンドルを切る。

狭い道でも、多少の悪路でも、道のほうがこちらを受け入れてくれる。

V-maxはそうはいかない。

総重量が300kg近くになると、ひょいっと乗り出すわけにはいかない。

加速は他では味わえないが、悪路に入って転倒すれば起こすのに一苦労だし、道が細くなってUターンしようにも、ちょっと気を使う。

その点、スクーターは軽い。

転倒しても起こしやすく、小回りも利く。

それが最大の武器だと思う。


これまで、V-maxの車検の際に借りる代車は、SUZUKIのLet’sといった50ccの原付一種がほとんどだった。

移動するには充分だが、交通の流れに乗るには少し気を遣う。

正直なところ、「まあ、こんなものだろう」と思っていた。

ところが今回の代車は、SUZUKIのアドレスV125だった。

発進した瞬間、明らかに違うと感じた。トルクがあり、加速に余裕がある。

気負わずに車の流れに乗れるという感覚が、思いのほか身体に心地よかった。

発進のたびに、身体が思ったより前に出る。

その加速感に、DTの2ストやV-maxがトルクで持っていくときの感触を、ふと思い出した。


もっとも、スクーターにまったく縁がなかったわけではない。

大昔、高校生の頃には、ソフィア・ローレンが宣伝していたロードパルで

「ラッタッタ」と遊んでいた時期がある。

ずっと後になってからは、チョイノリに乗っていたこともあった。

どちらも楽しい乗り物だったが、

いま振り返ると、それは移動手段というより遊び道具に近かった。

自分の中では、スクーターはバイクにあらず。

ミッションを自分でコントロールしてこそバイクであって、

オートマチックのCVTなど、バイクとは認めなかった。


しかし、その加速感に魅了されたのか、

スクーターを買おうかという考えが、ふと脳裏をかすめた。

なにせ安月給だ。予算はほとんどない。

中古で充分だと、最初から割り切ることにした。

ネットで中古車市場を眺め始める。

一桁万円から百万円弱まで、価格も車種も実に幅が広い。

スクーターと一口に言っても、種類はいろいろある。

原付一種、いわゆる50ccクラス。

50~125ccの原付二種クラス。

それ以上の排気量の、いわゆるビッグスクーターもある。

30km/h制限と二段階右折は、どうしても避けたい。

高速道路に乗るときは、V-maxがあれば充分だ。

そう考えていくと、50~125ccの原付二種がいちばんしっくりくる。


メーカーは国内外さまざまだが、中古を選ぶとなると条件が変わる。

まず気になるのは、パーツ供給の安定度だ。

そう考えると、HONDA、YAMAHA、SUZUKIといった国内メーカーが現実的になる。

Kawasakiは海外ではスクーターを展開しているが、日本では扱っていない。

製造国よりも、部品がきちんと手に入るかどうかが大事だ。

ネットを眺めながら、あれこれ考えている時間が、

いまは案外楽しい。


まだ「これだ!」という一台には出会えていないが、

近いうちに仲間が増える気配は、確かにある。

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2026年1月17日 08:30

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