第3話 お掃除は大切
近頃、雪苺の畑に魔獣が出るようになりました。冒険者ギルドに、討伐の依頼を出して、鹿みたいな魔獣を狩ってもらいます。
鹿っぽいだけあって、美味しいですよ。
名前は、確かジャイアントディア。皮や角も使えるから、人気のある魔獣で、すぐに依頼を受けてもらえたようです。
雪苺の畑は、ダンジョンのあるキトラ山の麓にあります。
この畑は、レオ二ード様とシリウス様が山で苗を見つけて、当時村長だったマイクさんと奥様のテティアさんに゙依頼して、管理したのが始まりで、美味しい雪苺を楽しみながら、無理なくついでにお金も稼ごうという言葉を掲げ、大きくしたそうです。
それは、今でも変わらず、何もすることがない冬に、皆でジャムを作って冒険者ギルドと商業ギルドで売りに出し、ついでにちょっとした小物も売ってもらっているそうです。
「メアリー、何してるんだ?」
レオ二ード様です。
今日も、かっこいい。
「雪苺のことを、考えてました」
「…メアリーは、食べることが好きだな」
「はい。大好きです!食べなきゃ生きていけないなら、美味しいものが食べたいです!」
「そうだな」
レオ二ード様は、小さな子供をみるような目で私を見て、頭を撫でてくれました。
今日は、いい日です……。
「ジャイアントディアは、もう大丈夫だと、連絡があった。今年も雪苺がたくさん採れるぞ」
「楽しみですね…」
私が言うと、レオ二ード様もそうだなと笑い、仕事に戻られました。
あと、ひと月もすれば、雪が降り始めて、苺が実るはず。
ジャムは一年中食べられますが、雪苺そのままを食べられるのは、冬だけなので、本当に楽しみです。
汚れていない屋敷内を、掃除してまわり、不審なものがないか確認する。
ご主人様方は、とても人気があり、不埒な奴とシリウス様とクリス様の研究を盗みに来る輩、レオ二ード様がお持ちの魔剣ジークフリード様を盗みに来る泥棒がいるのです。
だから、お掃除は大切です。
今日も、裏庭から、見覚えのない木製の置物が見つかり、アーレスさんに゙見てもらってから、焼却炉に入れました。
悲鳴を上げながら燃えてましたね。
何が、素材として使われていたのでしょうか?後でクリス様にお尋ねしたら、素材はわからないけど、呪いの類なら、かけた術者に返ったはずだと教えてくださいました。
私の大切なご主人様達に呪いをかけるなんて許せません。
アーレスさんに゙そう言ったら、相手はすでに死んだそうなので、しばらくは大丈夫だろうとのお言葉を頂きました。
それなら安心ですよ。
この屋敷にいる幽霊さん達も、屋敷を綺麗にしてくれたご主人様達が大好きですから、変なのが来たら教えてくれます。
他の貴族のお家では、こうはいきません。
幽霊さん達のおかげで、今日も謎アイテムを回収出来て良かった。
後で、シリウス様に頂いたチョコレートをお供えしましょう。
きっと、喜んでくれるはずです。
メアリーの楽しいおしごと。 @hamanasu361
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