完全犯罪とは知恵や技巧の産物ではなく心を利用し真実の居場所を奪うこと

愛ゆえに世界から真実を消す行為を描いた悲劇であるとも、

愛ゆえに愛を貫き通した純愛であるとも、

もしくは他の読み方もあるかもしれません。

この掌編は、読み手によって、ものすごく捉え方が変わるストーリーだと感じました。


私は「犯罪を隠す」のではなく「犯罪そのものを成立させない」という発想で構築された、歪んだ自己犠牲なのではないかと解釈しました。


完全犯罪とは知恵や技巧の産物ではなく、人の心を利用し、真実の居場所を奪うことなのだと突きつけられます。


主人公は怪物になることで彼女を守り、二人だけの世界の正義を成立させた。その選択も崇高で美しいと捉える人もきっといるでしょう。

ただ残酷で救いがない物語であると捉える人もきっといるでしょう。

彼の心に気がついたときに、何とも言えないやるせなさと恐怖が心に湧き上がりました。

皆様はどのような感想をもたれるでしょうか。