第3話 北斗市物語:激突!セメント工場の死闘

 セメント工場の廃墟。かつて高度経済成長を支え、北斗市の歴史を刻んできた巨大な煙突が、冬の月明かりに照らされて墓標のように立っている。

​「南斗水鳥拳……いや、現代格闘術と暗殺術の融合か。相変わらずキレてやがる」

​ 日向隼人は、飛来する南の「真空波」をわずかな首の動きでかわした。頬から薄く血が滲む。だが、日向の瞳には恐怖ではなく、歓喜の火が灯っていた。

​「南、お前が復讐しようとしている黒幕……**『キング』**と呼ばれている男だろう? 35年前、俺たちをゴミのように扱ったあの男が、今や新幹線開業に沸くこの街の利権を握り、市議会の裏で糸を引いている。俺も追っていた」

​「知っていたか。ならば話は早い、そこをどけ隼人。あいつは生かしておけない」

 南の指先が、鋼鉄のワイヤーをも断ち切る鋭さで日向の胸筋をかすめる。

 第一の激突:北斗vs南斗

​ 日向は叫びと共に、足元の雪を爆発させた。

「お前が闇に落ちる必要はない! その手は、かつて俺に格闘技を教えてくれた『救いの手』のはずだ!」

 ​日向は、工場の柱から突き出ていた錆びた鉄骨を素手で掴み、強引に捻じ曲げた。**「北斗神拳」ならぬ「北斗署・超重筋力(パワー)」**による物理的な制圧。

 100キロのスクワットで鍛え上げた大腿四頭筋が地面を割り、日向の巨大な体が南の懐へ飛び込む。

​「甘いぞ、隼人!」

 南の体は重力を無視したかのように舞い上がった。まさに「水鳥」の如き華麗な跳躍。セメントの粉塵が舞う中、南の蹴りが日向の肩を叩く。

 第二の影:世紀末的な黒幕の降臨

​ 二人が拳を交え、火花が散ったその時。

 工場の奥から、地響きのようなエンジン音が響き渡った。

​「ヒャッハー! 仲違いか? 友情ごっこはそこまでだぁ!」

​ 廃墟の壁を突き破り、無骨な装甲車が現れる。そこに乗っていたのは、モヒカン頭にプロテクターを装備した暴走集団、そしてその中心に座る、不気味なほど肥大化した男だった。

​「久しぶりだな、日向。そして南。まだ生きていたのか」

​ その男こそ、かつての日向のイジメの主犯であり、現在は「北斗市再開発事業」の裏で暗躍する組織のトップ、**『サウザー』**を気取る男、**権藤ごんどう**であった。

​「権藤……! 市の広報では『清廉な実業家』面をしていながら、裏では武器取引か!」

​「ハハハ! 歴史は勝者が作るのだ。新幹線が通り、アイアンマンレースで沸くこの北斗市に、お前らのような『過去の遺物』は必要ない。ここでセメントと一緒に埋めてやるわ!」

 共闘:北斗と南斗の再会

​ 権藤の合図と共に、武装した手下たちが一斉に二人を包囲する。

 日向と南は、一瞬だけ視線を交わした。言葉は不要だった。35年前、ボロボロになりながら二人で夕日を見たあの時と同じ魂が、今、再び共鳴する。

​「南。復讐ではなく、**『執行』**だ。北斗警察署・特別捜査官として、俺がお前をサポートする」

「ふん……。お前のその分厚い背中、盾にさせてもらうぞ、隼人」

​ 日向は警察官のコートの下から、特注の**「10キロのリストバンド」**を外し、地面に投げ捨てた。

「筋肉が……叫びたがってるぜ」

​ 南の銀髪が夜風に舞い、日向の筋肉が月光に輝く。

 北斗市の平和を揺るがす黒幕・権藤に対し、かつての親友二人が、今、最強のタッグを組んで立ち向かう!

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北斗の刑事 鷹山トシキ @1982

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