第3話 ユキミ

 俺のスマートデバイスから現れた白い塊はユキミと名乗り挨拶してきた。

完全に思考が停止してしまいそんな俺の異変に感じとってか父と母が走ってやってきた。

「愛斗!大丈夫か!」

「愛斗!」

2人とも慌てた様子だったが俺の腹の上にいるユキミと名乗る生き物を不思議そうに見つめる。

「愛斗なんだそれは!?」

父が問いかける。

「わからん、急に出てきて」

実際、こんな状況は見たことも聞いたこともなく何もわからなかった。

俺は疑問を解消する為と自身の倒れこんでいる状態をなんとかするしようと雪のように白いその生き物に手を伸ばす。

危害を加えてくるような様子もなく先程の挨拶から考えても友好的だと考えていた。


「愛斗!やめなさい!」

母の声に俺とユキミという生き物がビクッと震えた。

「母さん、大丈夫だから。とりあえず襲われる事はないと思うし」

「本当に!?」

「さっき挨拶してきたしね」

不安そうな父と母だったが実際に俺が下にいる以上不用意な事が出来ずにいたようだ。


俺が手のひらを上に向けてこちらに乗るように促す。

そして想いが伝わったようで手のひらの上に飛び乗ってきた。

白い球のような物体かと思っていたのはどうやら白い毛だったようで非常に手触りがよく滑らかだった。

「ユキミだっけ?一体何者なんだい?」

せっかく話が通じるのだから質問してみる事にした。

「ボクはマナトの心を反映した電子生命体、ELF(エレファ)って呼ばれてるよ」

「ELF?聞いた事がない単語なんだが」

「それ以上の事はボクには分からないんだ…ごめんねマナト」

「なんで俺のデバイスの中にいたんだ?」

そもそも触れる立体プログラム自体はすでに開発はされている。

しかしそれはこういう次元ではなく触ったと脳に誤認させる為に電気信号を流す事によって感触を再現するプログラムであり実際に重さ、そしてこんな繊細な毛の表現が出来るプログラムは存在していない。

「マナトをスキャンして適正値に達したから」

「適正値?」

「ボク達を作り出せるだけの適正値のある人間にスキャンをかけてそしてボク達を生み出してもらう為」

「つまりどういうこと?父さん」

俺の頭ではユキミの言っている事が理解出来ず、俺とユキミの会話を静かに聞いていた父さんに聞いてみる事にした。

「恐らく、エレファを生み出せるだけの何かを持っている人間にあの現象が起きてその結果ということしかわからないな」


「その適正値というのは何なの?」

母がユキミに尋ねる。

「ボクにはわからないの…ごめんなさい…」

そういって俯いてしまうユキミ。

めっちゃかわええ…。

「悪いが少し調べさせてもらえないか?」

父さんがユキミに話しかける。

父さんが差し出した手を怖がるユキミ。

「俺が連れて行くよ、どこにいけば?」

そんな様子のユキミを可哀想に思い父さんの案内されて実験室のような部屋に案内される。


「その目の前の台の上に乗せてくれるか?」

父さんに指示された台は大の大人が大の字で寝ても余るほどの広さがある台であり少し躊躇した。

「ユキミ、ちょっとこの台の上に乗ってくれるか?」

「わかったー」

ぴょんと跳ねて台に乗るユキミ。

やっぱりめっちゃかわいい。

そんな事を思いながらも父が機械を操作する。


「本当は人間の身体を検査する機械なんだがな」

「大丈夫なのか?」

「もちろん危険はない」

そういって光が投射されユキミに当たる。

「ユキミ、すぐ終わるからな」

「うん、わかったー」

一通り色々な方向から光が当たり3分ほどで機械が動きを止めた。

「これで終わった、もう良いぞ」

「ユキミ、おいで」

そういって手を差し出すとユキミが跳ねて飛び乗る。


「何かわかったの?」

「今、解析中だ…すぐに終わると思うが…」

そんな話をしていると父さんに連絡が入った。


「博士、皆が目を覚まし始めたので説明をして欲しいのですが」

「わかったすぐにいく」

父の後に続いて先程の部屋に戻る。


皆が目を覚まし初めており少しざわついていた。

愛もどうやら目を覚ましているようで母さんが側にいた。

父さんは皆に事情の説明があるので係の人に呼ばれてそちらに言ってしまったので俺は愛の元に向かう。

「愛、大丈夫か?」

「うん、私は大丈夫だけど…ねぇその手に持ってる白いのなに?」

さすが我が妹ながら目ざとい。

すぐにユキミを見つけてしまった。

まぁ隠す気はないのだが…

「とりあえずその疑問に応える前にスマートデバイス開いてみろよ」

「えっ?う、うん。わかった」

そういって納得はいっていないようだったがスマートデバイスを起動した。

「知らないアプリが入ってないか?」

「えっ!?なにそれこわっ」

と言いつつもアプリを探す俺とは違って愛はかなりの数のアプリをインストールしているはずなのでくまなく見て探しているみたいだ。

「うわっほんとだ知らないアプリがある」

「やっぱりか…」

「それでどうすればいいの?」

「大丈夫すぐにわかる」

「はあ?」

そんな話をしてるうちに愛のデバイスウインドウが光る。

そして光が収まったと思えば愛の眠るベッドの上に黒い塊が現れていた。

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