月に帰る、君の場所

都会に舞い降りた現代のかぐや姫。光をまとった菜月(はずき)は多くの人に愛されていた。幼い頃に両親と生き別れ、祖父母と暮らす菜月。一歩外に出れば光を纏った女性へ変わる。そんな菜月に多くの“求婚者”が惹きつけられていく。実業家、有名モデル、資産家……彼らは皆、理由も分からず菜月に魅了され、異常なまでに固執していくのだった。しかし、彼女の本心は“ただ普通に生きたいだけ…”

やがて菜月の体に異変が生じる。月が満ちていくたびに体調は崩れ、医師に難病を宣告されてしまう。そんな時、一筋の光が懐かしさと同時に差し込んだ。幼い頃に思いを寄せた少年“瑆(ひかる)”。研究者の瑆は病気と心を支えるが、彼女は次第に弱り、ついには生死をさまよう状態に陥る。荒れた天候の中、意識の薄れる菜月が最後に呟いたのは、「月がみた…続きを読む