誰にも言えない恋をした

クライングフリーマン

誰にも言えない恋をした

 ============= ノンフィクションです ==================

 50代を超えてから、3度好きになった。

 2度は、我慢出来ず告白し、撃沈、または無視の報酬。

 そうでない場合は、告白をしなかった。

 母が介護生活になる少し前、私が心筋梗塞で入院した病院で、健康管理の為に紹介して貰った宅配食の会社。

 2軒あった会社の1軒を袖にし、もう1軒にした。

 試食をして、折角決まりかけていたのに、男の宅配より、おねえちゃんの宅配を選んだ。スケベだから。

「老いらくの恋」は完遂しないもの。

 こういうことを書くと、「タイトル」や「サブタイトル」で読んだ気になるヤカラに突っ込まれそうだが、事実である。

 彼女とは、長い付き合いになりそうだから、何も言わなかった。

 担当を変えられて撃沈するだけだ。

 彼女は離婚して2人の子持ちだった。

 やがて、再婚して、4人の子持ちになった。

 それで良かった、と思っている。

 母は、働き者の彼女を気に入り、助手席の子供におやつをあげていた。

 今日も元気で、配達に来るだろう。

「仏さんのお下がり」は、無理に食べずに、彼女を通して、子供達にあげている。

 彼女は恐縮しながらも受け取っている。

 丁度、姪と同じ年頃なので、子育てしながら働く大変さは判っているつもりだ。

 私には、もうあまりお金がない。

 いつか餓死するかも知れない。冗談で言っていない。

 そんなジジイに、未来も無ければ恋もない。

「時の氏神」という言葉がある。

 上手く人間関係を調整する人のことを指すのだが、私自身も、「人に影響を与える為に生まれ、生きているのだ」と悟りを開いた。

 時として、怒りが噴出する時もあるが、そんな宿命を持った人間には「並みの幸せ」は得られない、と思っている。

「そんなことないでしょ」という、社交辞令は要らない。

「ふうん。」で結構である。

 いつの間にか、爪が延びている。そして、いつの間にか時は通り過ぎる。

 一日、一週間、1ヶ月。早く感じるようになったのは、いつ頃からかな?

「好きです。」「私も。」

 妄想の中の台詞でしかない。

 現実は厳しい。

 内緒だが、私は何度も同じ人生のレールを走っている。

 前世で余程悪いことしたのだろうね。

 同じ人間に生まれ変わるということは、メビウスリングの上ということだ。


 神様だけが知っている。


 ―完―



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誰にも言えない恋をした クライングフリーマン @dansan01

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